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 小笠原最後の昼食をどうしようかと思って店を探しますが、開いているのは小洒落たパスタなどを千円を軽く上回る料金で供するようなところばかりで、あまりそそられません。それでは、すでに弁当は一度食べたけれども、あそこの弁当にしようかと赴いたのは「五六助弁当」でした。そうした理由は、店の前を通った時にいつもニンニクの効いた焼肉の匂いが漂っていたのと、男ばかりが列をなしていたからです。
 あの匂いはきっとこれだろうと、スタミナ丼750円をチョイス。店が狭く、店主は客一人ずつの対応。調理を見ていると、目玉焼きをつくり、別の鍋で豚バラ肉7枚を切らずに焼き、それにタマネギと大量の自家製たれを投入してしばらくジュワジュワ。がばっがばっとしゃもじでご飯をどんぶりによそい、その上に刻み海苔をぶちまけて、先のジュワジュワと目玉焼きをトッピング。うーむ、すごい量だ。
 これを大神山公園内のあずまやで貿易風のような心地よい風を受けながら食べれば、もううまいのなんの。唯一の難点は多すぎるということだったでしょうか。

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ボリューム満点のスタミナ丼

 最後は「小笠原世界遺産センター」。世界遺産の情報発信、外来種対策などの拠点施設とのこと。外来種の近年の急速な広がりによって固有種が激減していること、国内の世界自然遺産は白神山地、屋久島、知床と小笠原の4か所となっていることなどを知りました。

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小笠原世界遺産センター

 レンタバイクを返却し、宿のおばさんから旅客ターミナルまで送ってもらって、待合所で1時間半ほど、今日行ったところ、出来事等のドキュメントをして、出向を待ちます。旅情のある雑然の中でキーボードに向かい、一人の世界に浸るのも悪くありません。

 乗船が済み、おが丸出航に当たってのお楽しみがあります。
 小笠原太鼓の演舞があり、1便遅れてしまったのか、この便で転勤で本土へと異動する職員の惜別の横断幕が数本。出航10分前に銅鑼が鳴り、ブラスバンドによる宇宙戦艦ヤマトのテーマで離岸。多くの人がさようなら、ありがとうと手を振る姿は感動的ですらあります。
 進水すれば、船溜まりからクルーザー10隻ほどが一斉に動き出し、おが丸を追尾します。各船からも大きく手を振りながらまたきてね、さようならの声。そして最後に、多くの若者たちが海にダイブして別れを惜しみました。齢のせいか、このごろはこういうことでも込み上げてくるものがあるのでした。

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小笠原太鼓

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「惜別 ○○所長、△△研究員」

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またきてね~!

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さよーならー!

 またたくさん本を読んで、眠っての24時間が始まります。
 船内では乗船時と夕食時間にトリハイを2本飲んで寛ぎました。昼の弁当の持ちがよすぎて、船内自販機のカップラーメン1杯にとどめても十分でした。
 シャワー室で足を洗い、洗顔、歯磨きをして、今回の相部屋の人たちはみんな物静かだけれどもいちおう耳栓をして、22時の消灯までに就寝。

 深夜、地震だな、揺れが長いなと思って目が覚めましたが、フネの中なのでした。波の煽りによる大きな揺れはさほど気になりませんが、時として船が軋むような細かい振動を察知することがあり、これを地震と勘違いしてしまったようです。
 朝6時に室内灯が点くまで尿意を我慢して眠ります。だいぶ長時間乗っていますが、船旅はあと9時間も続きます。まあ、9時間で終わってしまうとも言えるでしょうが。
 島で買った島ドーナツ1個と船内売店で買ったじゃがりこの朝食をとります。旅の間、何回か飲むのを忘れていたコレステロール降下の薬を今朝は忘れずに服用。

 やることがないので午前中いっぱいは読書。昼前に、更衣室でこざっぱりした下着に着替え、半袖シャツを長袖に替えます。
 昼食は船内レストランであんかけ焼きそば1,100円を食べました。堅焼きそば。袋入りの五目の具をかけただけで4桁料金という、冗談のきつい食べ物でした。
 連絡船上などの食事は乗船前に買い込んだ弁当というのがもっとも正解で、レストランで食べるならカレーや牛丼といった「カケモノ」を食べるべきでした。

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船内レストランのあんかけ焼きそば

 最後は締まりませんでしたが、こうして5泊6日にわたった小笠原旅が終わります。
 仕事を辞めてすぐに向かった離島でしたが、初めて行った小笠原諸島はワクワク感と驚きがたっぷり詰まった宝箱のようなところで、行って見てとてもよかったです。
 あるがん治療医師は、心のときめきこそが免疫力や自然治癒力を高める最大の要因だと言いました。
 また、人間は年齢を重ねるにつれ日々に対するときめきが薄れていき、つい昨日のことでさえ何をしたかさえ思い出せず、時間を短く感じるようになるのだといいます。
 ところが今の自分は、昨日はあれもやったしこれも見たと記憶が鮮明だし、次に何が起こるのか明日がとても楽しみで、充実した時間を過ごせているように思います。
 長かったファーストステージをようようにして脱し、これから新たな生き方を暗中模索していくに当たって、期待と不安を抱きながら、それをおずおずとながらも楽しみ始めている自分がいます。

 デスクワークの日々から急にめいっぱいの野外活動をしたので、太ももの筋肉や脚の関節周辺などに心地よい疲労感があります。バイクで走り回ったので少し日に焼けて、顔面や腕の皮膚にピリピリした感じがあります。2等客室の硬い寝具で寝たので支点部分のあちこちが痛いですが、大部屋でもぐっすりと眠れました。
 再就職してこれまでと大きく変わらない安定した暮らしを得る道もあったでしょう。それも人生ですが、そうでない生き方だってあります。人生は人それぞれ違っていて当然。突き詰めれば、どう自分らしく生きていけるかが大事なのだと思います。

 おがさわら丸を下船したなら、のんびりとした離島とは状況ががらりと異なる大都会が待っています。それなら今度は、都会も楽しんでやろうではないか。
 王子駅前に宿をとっているので、今夜は王子で沈没する予定です。
 帰宅する明日までこの旅は続きますが、小笠原旅行記はここまで。読んでいただいた方には感謝!
 「ありがとー!」
 「またきてねー!」
(了)