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   双葉社 1,900円+税 1998年6月29日 第1刷発行

 2017年3月に古書店から351円で入手したもの。
 砂守勝巳の著書はこれまで、「沖縄シャウト」(講談社文庫、2000)と「沖縄ストーリーズ」(ソニーマガジンズ、2006)を読んでおり、これが3冊目となり、当作はこれら2冊以前に書かれたものとなるのでしょうか。
 そう思って読んだものの、どうも読み進めていると既視感がありました。どうやらこの著作をのちに増補改題して再発行されたものが、先に読んだ「沖縄ストーリーズ」だったようでした。

 著者は、1951年、浦添生まれ。57年にはフィリピン出身で沖縄駐留米軍基地の軍属だった父が任を解かれ、母の故郷である奄美大島に移って少年時代を送ります。8歳になる直前に父は妻子をおいて帰国。15歳で母が死去。15歳で大阪へ。18歳でボクシングを始め、69年から71年までプロボクサーとして活動。その後写真に関心を持ち、75年に大阪写真専門学院を卒業し、写真家として活動を始めます。
 84年、大阪釜ヶ崎を取材した「大阪流転」で集英社主催のプレイボーイ・ドキュメントファイル大賞奨励賞受賞。86年に撮影のため29年ぶりに沖縄を訪れたことをきっかけに沖縄に通うようになり、沖縄で出会った混血のパンク・ロッカーや自身の生い立ち、父との再会などについて綴った写文集「オキナワン・シャウト」(筑摩書房、1992。のち「沖縄シャウト」と改題し、講談社文庫、2000)を出版。96年、幼少期を過ごした沖縄、母の出身地奄美、父を訪ねたフィリピンという島をめぐる私的な旅を主題として発表した写真集「漂う島とまる水」(クレオ、1995)で土門拳賞および日本写真協会賞新人賞を受賞しています。

 自分の根っこを追い求めながら南の島を歩き回っていたカメラマンが、沖縄で出会った長期滞留者たち。世代もさまざま、事情もそれぞれ、ナイチャーも外国人もいれば、舞い戻ったウチナーンチュもいます。
 何が彼らをこの島に呼んだのか。なぜこの島を第二の故郷としたのか。
 やがては自らも沖縄に移住するカメラマンが、出会うべくして出会い、素で触れ合った6組の人間像を活写します。
 表紙は辺野古のバー街で遊ぶ子供たち。挿し込まれる写真は説得力のあるものが並びます。それらの中には、琉装した若き日の唄者仲田まさえ、弾丸の痕跡が残る富盛の石獅子、ルーズソックス姿の沖縄の女子高生、「やちむん」の二人、ジャズシンガー与世山澄子、夜の街でエイサーを舞う園田青年会の雄姿なども。

 なお著者は、2009年6月23日、つまりは組織的な沖縄戦が終了してからジャスト64年後に、胃がんのため東京都内の病院で死去しています。享年57歳。

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