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   新潮文庫 476円+税
   1985年9月25日 第1刷 2005年7月15日 第48刷発行

 「上」については2019年1月25日に読了していて、その約4か月後にこの「下」を読み終えた恰好です。
 藤沢周平の歴史・時代小説で、時代背景は、織田から豊臣へと権力が急旋回し、天下分け目の“関ケ原”へと向かう戦国末期で、いたるところに策略と陥穽が口をあけて待ちかまえていた頃のこと。東国では、謙信以来の精強を誇る上杉の主君景勝を、二十代の若さだが、知謀の将として聞える直江兼続が支えていた。
 この著書は、兼続の慧眼と彼が擁する草(忍びの者)の暗躍を軸に、戦国の世の盛衰を活写した、興趣尽きないものになっています。

 下巻では、秀吉の遺制を次々と破って我が物顔になっている家康に対抗するため、兼続は肝胆相照らす石田三成と、徳川方を東西挟撃の罠に引きこむ密約をかわす。しかし、実際に三成が挙兵し、世をあげて関ケ原決戦へと突入していく過程で、上杉勢は遂に参戦しなかった。それはなぜなのか――というあたりが読みどころ。

 藤沢にしてはあまり多くない本格的な歴史・時代小説になっていますが、やはり彼の持ち味は市井の浪人者や下級武士などを主人公にした人情ものにありそうな気がします。
(2019.5.14 読)

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