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   ボーダー新書 1,200円+税
   2018年10月25日 第1刷発行

「沖縄には変わった表現がたくさんある。時計が歩いたり、三線が歩いたり、人が海を歩いたり、クーラーが逃げたり……。どうして「しまくとぅば(沖縄の言葉)」ではこのような表現になるのだろうか。言語学者である著者が体験した沖縄の言葉へのとまどいと、沖縄社会における言葉の変化を読みやすいコラムで論じた、これまでにない視点から浮かび上がる琉球語の世界。」(背表紙から)――という本で、待ってましたという感じです。

 著者の石崎博志氏は、1970年石川県金沢市生まれの博士(文化交渉学)で、沖縄で20年間過ごしたのち現在京都市在住。著書に「しまくとぅばの課外授業」(ボーダーインク)などがあり、2016年には琉球古典芸能コンクール歌三線部門で最高賞を受賞(安冨祖流)している方です。

 目次からいくつか拾ってみると、「だはず」考、「わじわじ、そーそー、ちーちーかーかー」、「いただいてください」を否定すること、「殺すぞ」と「死なす」、「おはよう」と返してくれない人、彼と彼女はアレから来ている、「でーじ」の衰退が意味すること、「ひざまずき」と「正座」、方言札をはく、「為又」はなぜ「びーまた」と発音するのか、オジサンの唐揚げ、「歯ぐき」について……などなど。面白そうでしょう?

 沖縄タイムスに書評が載っていたので、ここに引用しておくことにします。

・[読書]沖縄の文化継承へ「やさしいかけ橋」 2019年1月20日
 今、沖縄県民が口ぐせのように使っているフレーズが、「わかるよね?」。
 芸能に限らず、沖縄の文化は「とても詳しい人」と「まったくの初心者」をつなぐ「やさしい架け橋」が少なく、「むずかしい事を、むずかしいまま、先輩へ口答えなどせずに、怒られながら学ぶ」という環境がまだまだ存在しているようです。
 そんな状態に、ウンザリしている人々の「ガス抜き」として、先にあげた「わかるよね?」は人気を博しているのかな~、でも、ずーっとそれでは、沖縄文化の未来は暗いですよね~。
 しまくとぅばに関しては、「先輩方に怒られてもいいから、まずは使ってみましょう!」と励まされることもあります。う~ん、それでいいのか文化継承~。
 もはや、沖縄にルーツがある若い世代や、県外・海外から移住し、生活を送っている皆さんにとっては「しまくとぅば」は日常語ではなく、どちらかといえば「外国語」に近いのではないでしょうか。
 今回、紹介する本は、そんな皆さんへの「やさしいかけ橋」として、ぜひ、ご一読いただきたい。
 この本のポイントは、「言語学から見るしまくとぅば」です。
 「沖縄の人って、『クーラーが逃げる』って言うよね~」というのは、わりとよく知られた「沖縄あるある」ですが、言語学では、このような言い回しは「メトニミー」と称されるとのこと。
 沖縄のことわざ「黄金言葉(くがにくとぅば)」については「メタファー」「マッピング」という言葉でひもとかれていきます。
 また、著者の石崎さんが大学教授ということもあり、学生からのリサーチもたびたび登場。今の学生は「でーじ」は、もうほとんど使っておらず、大変なことは、もっぱら「めっちゃ」で表現しているそうです。
 まるで標本箱の中に入った「しまくとぅば」を、研究室で博士に解説してもらっているような不思議な感覚。
 「しまくとぅば」は沖縄の伝統でもあるが、それよりも何よりも「世界の中の一言語」である。そんな知的好奇心あふれる軽やかな視点から読み進めていただければと思います。
(紙芝居作家・さどやん)
(2019.5.18 読)

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