FC2ブログ
nandoittemo.gif

   林檎プロモーション 1,500円+税
   2018年7月24日 第1刷発行

 沖縄に対する熱い想いを持ったトラベルライター・カベルナリア吉田の、久々の沖縄本。
「開発ラッシュで急速に変貌する沖縄。増え続ける旅行者、上辺ばかりを沖縄風に飾り立てた飲食店に観光スポット……。変わりゆく沖縄に、心が離れかけた著者が、再び長い旅に出た。変貌の隙間に残る「変わらない沖縄」を探して、自分の足で歩き、路地の奥の、そのまた奥へ――。沖縄を歩き続けて20数年の著者が送る、沖縄実踏紀行の最新版!」(カバー折込から)

 頻繁に沖縄の旅本を世に問うていた時代から少し間があいた理由は、変わりゆく沖縄に対する葛藤があったためなのでしょう。沖縄はどんどんヤマト化して沖縄としての独自性が失われつつあるのが現実で、彼が感じ、憂えていることはものすごくよくわかります。
 彼はその想いを、当書のプロローグにあたる「久しぶりの旅立ち」に記しているので、その部分を以下に引用し、紹介に代えます。

 初めて沖縄を訪ねてから20年以上、沖縄の旅を取り巻くさまざまなことが、変わってしまった。
 沖縄が変わった。開発に次ぐ開発。新しい道、新しい街。
 那覇に「おもろまち」ができると、似たような街が次々に開発された。整備されたバイパス沿いに、東京で見かけるチェーン店がズラリ。牛井屋、ドラッグストア、巨大な紳士服店。便利だが、沖縄にいる感じがしない。
 昔から続く店や宿も、久しぶりに訪ねると「息子に任せたから」と代替わりしている。話好きのお父さんお母さんの姿はなく、息子は挨拶もしない。料理の量が明らかに減り、息子の嫁は客の前でも不機嫌な顔をする。
 収束の気配すら見せない基地問題。仕事よりも選挙に熱心な人々。一方で「何をすれば補助金下りるか」相談されたりもする。
 変わり続ける沖縄。変わって、さらに変わって、どうなろうとしているのか。

 沖縄に行く旅人の多くも、この20数年で変わった。
 観光客が増える一方で、沖縄を愛する旅人は減ったと感じる。LCCで安く行けるし、次の土日にサクッと行ってみなーい? みたいな。
 意外にフツーだねー。あ、知ってるコレ、沖縄そば。テレビで見たー。
 ここはコンビニないのー? 使えねー。
 沖縄なのにマンゴーないのー? 話が違うじゃーん。
 スマホ、自撮り棒。
 ライン、インスタ映え。
 沖縄が変わったのか? それとも旅人が沖縄を変えたのか? その両方なのか?

「沖縄のこと、もう好きじゃないんですか?」
 最近そう聞かれることが増えた。
 見て感じたことは、全て書かなければ嘘だと思う。だから僕は沖縄で失望したこと、頭に来たことも書く。すると「そんなこと書いて楽しいの?」と言われてしまう。
「沖縄について書いてください」「楽しいことだけ書いてください」とも言われる。でもついつい楽しくなかったことも書いてしまい「やめてください」「この箇所は削ります」と言われる。

 少し沖縄と、距離を置いた。
 2年間、行かなければならない仕事だけに絞り、沖縄に行く回数を減らした。
 再び心の底から沖縄に行きたくなるのを、待った。

 不思議なもので、しばらく行かないと、ふとまた行きたくなる。
 変わり続ける沖縄の隙間に、変わらず迎えてくれる店が街が、場所がある。人がいる。変わらない沖縄は、確か必ず、そこにある。
 沖縄の変わらない場所、街、店、人を訪ね歩く旅をしよう。そう思ったらようやく、沖縄に行きたくなった。
 でも旅は「開拓」だから、再訪だけの旅にしたくない。だから「たぶん昔からあるもの」「今後もずっとあるもの」を探しながら、沖縄を周ってみよう。
 何度行っても変わらない沖縄が、あるはずだ。必ず。
(2019.6.14 読)

関連記事
Secret