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iriomote tanken

   あっぷる出版社  2,400円+税 
   2017年6月1日 第1刷発行

 ハブやヒルもなんのその。サソリだってムカデだってべつに死にやしない。1965年、イリオモテヤマネコ研究のため初めて西表島に入り、以来50年にわたって島を歩き続けてきた筋金入りのフィールドワーカーが書く秘境単独踏破行。笹森儀助「南嶋探驗」の足跡を辿りつつ、観光では味わうことのできない西表島最深部の魅力を紹介する。(コシマキから)
 ――というもので、西表島すべての沢とピークを歩き尽くす意気込みです。地図、資料、図版も多数収録されていて、読み応え十分。こんなことをやっていてよく今まで命をつないでこられたものだと感心してしまいます。

 著者は、1944年生まで早稲田大学法学部卒業。その後東京大学大学院農学系研究科博士課程を修了し、哺乳動物生態学専攻の農学博士。若い頃から琉球列島に関心を持ち、とくにイリオモテヤマネコの生態研究を最初に手がけ、成果をあげた人物であるとのこと。ボルネオ島とも関係しており、1985年、40歳から、主に国際協力機構(JICA)の海外派遣専門家として、カリマンタン、ブルネイ、サバに16年間居住し、動物調査や若手研究者の育成に携わる。西表島とボルネオ島の自然と人々の営みを、あるがままに記録し続けることをライフワークとしている方です。

 おそらくここまで詳しく西表島の山岳地帯を歩いている人はほかにないだろうと思われ、その詳細な踏破行の記録はこれからも永く西表島探検のバイブルとなっていくことでしょう。
 自分にはもう真似のできないことですが、探検のワクワク感、心地よさ、そして恐怖までもが、読んでいてがんがん伝わってくる読みものでした。かなりマニアックですが、冒険小説などを読むよりもずっとリアルで楽しめる1冊でした。

 沖縄タイムスのページに書評が載っていたので、以下に引用しておきます。

・安間繁樹著「西表島探検」 山歩き、必読の奥地紀行  2018年1月13日
 本書は1965年、「未知のヤマネコ発見」というニュースに衝撃を受けた当時20歳の大学生が初めて西表島に上陸して山を歩いて以来、西表島の不思議な魅力にとりつかれてしまった「西表島探検」の記録で、山歩きの最高のガイドブックだ。
 著者は大学卒業後3年間、西表島に滞在し、イリオモテヤマネコ研究に青春の情熱を注いだ。85年からは国際協力機構(JICA)の海外派遣専門家としてボルネオ島に足かけ30年関わり16年間居住、動物調査や若手研究者の育成に尽力した人物である。そのような著者が60歳を迎え、2005年から12年にかけて西表島の道なき山々を奥深く独りで歩いた。その驚くべき体力と気力に敬服するばかりだ。これから西表島の自然の研究を志す若い研究者には必読の奥地紀行として強く薦めたい。
 世界自然遺産登録に推薦されている西表島は海から眺めれば美しい山並みであるが、いざ奥深く足を踏み入れれば複雑怪奇、予測不可能な地形に出合い困難の限りを体験することになる。本書を読めばその複雑怪奇なありさまがリアルに記録され、手に取るように分かるだろう。
 冒頭から笹森儀助という人物が頻繁に出てくる。青森県弘前の士族でのちに青森市長を務めた人である。1893年明治政府の要請を受けた儀助は八重山の島々をくまなく歩いた。その記録は「南島探験」として出版されている。儀助は仲間川より御座岳へ登り、仲良川へ下る横断を決行するなど、西表島で一番難儀な行程を選んだ。著者があえて本書のタイトルを「西表島探検」としたのは「南島探験」とした笹森儀助の思いと重なり合っているのではなかろうか? と私は思っている。
 旧知の仲でもある著者は一つ先輩であるが、その活力に圧倒される。西表島に生まれ育った私にとって、山々を歩くことは生活そのもので当たり前のことであるが、これまで島外から挑戦した多くの研究者や大学探検部の中で、西表島の山々の奥深くまで歩いた人は著者が一番であろう。本書を手に多くの若者たちが西表島探検に挑戦することを期待したい!
(石垣金星・西表をほりおこす会代表)

(2019.10.3 読)

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