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   沖縄タイムス社  800円+税
   2019年2月6日 第1刷発行

 「唐船ドーイ」といえば、沖縄では誰もが知っているもっともポピュラーなエイサーソングですが、その曲名を表題に冠した小説だというので興味深く思い、買って読んでみました。2018年、第44回新沖縄文学賞の受賞作です。

 コザで探偵業を営む新垣ジョージは、謎の文言を手掛かりにお宝を探す。暗号、少年との交流、謎の人物などハードボイルドの定石を踏まえながら軽やかな文章で展開されていきます。おじいの隠した宝探しを縦糸とし、これにコザらしさと言ってもいい子供の貧困と人種的多様性についての考えを横糸にして、ストーリーが展開されていきます。
 コザ市役所近くの路地裏のアパート、コザ市民の台所「ゴヤ市場」、その一角に店を出す屋台飲み屋の「よねさか屋」、幻の歓楽街八重島にあった「ニューコザ」などが登場し、沖縄マニアなら楽しく読めるはずです。
 「唐船ドーイ」は、お宝の価値がありそうだとなったときの高揚感が、頭の中であのチムドンドンのリズムとなって鳴り響くもの。果たして宝物とは何だったのか、その結末やいかに。
 ほかに、同じ新垣ジョージが登場する「娘ジントーヨー」と、南山王を描いた歴史小説の「金の屏風とカデシガー」も収録されています。

 著者は、1961年東京生まれ。武蔵大学経済学部を卒業後、若者向けの雑誌編集部でデスクとして活躍し、1995年に退社後は、自ら会社を設立して映画監督としてデビューした経験を持つ人物。で、なぜか今は糸満で農家のかたわら文章を書いているらしい。

 新垣シリーズというか、沖縄民謡シリーズの第3作の「一九の春」も入手しており、近いうちに読む予定。
 また、2018年の新沖縄文学賞受賞者は二人いて、もう1作は高浪千裕の「涼風布工房」で、これも入手済みです。
 これらはいずれも新沖縄文学賞を主宰する沖縄タイムス社が新書版で発行しているので、手軽に入手して読めるようになっています。受賞作品は広く読み手を求めてこそ価値が出るものであり、沖縄タイムスのこういう事業姿勢には好感が持てます。
(2020.1.15 読)

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