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   新潮文庫  630円+税
   1994年6月1日 第1刷
   2012年8月10日 第50刷発行

 北国の小藩の剣客・青江又八郎も今や40代半ば、若かりし用心棒稼業の日々は遠い……。国元での平穏な日常を破ったのは、藩の陰の組織「嗅足組」解散を伝える密命を帯びての江戸出府だった。
 なつかしい女嗅足・佐知との16年ぶりの再会も束の間、藩の秘密をめぐる暗闘に巻きこまれる。
 幕府隠密、藩内の黒幕、嗅足組――三つ巴の死闘の背後にある、藩存亡にかかわる秘密とは? シリーズ第4作にして最終巻。(カバー背表紙などから)

 ずいぶん楽しませてもらった用心棒シリーズも、これが最後かと思うと寂しい。
 登場時は26歳だった主人公の剣客・青江又八郎も40も半ばとなり、「あのころにくらべれば、いまのおれは心身ともに小さくかがんで生きているとは言えぬか」と、江戸から藩元に戻って年齢相応の生き方をしている。再び江戸に出府して、かつて又八郎と若い頃にともに用心棒家業をしていた細谷源太夫と会うが、彼は妻を狂死させたあと酒毒に冒されて荒んだ生活をしている。だが、かつて「私を、青江様の江戸の妻にしてくださいまし」と訴えた嗅足組の女頭領の佐知だけは、以前の輝きを失ってはいなかった。
 この完結編は、もはやあの20代の野放図な浪人暮らしの日々はもう戻ってこないという、青春の終わりの確認のためのものなのでしょうか。
(2020.12.2 読)

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