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学文社 1,200円+税
2018年7月10日 第1刷発行
こちらを読む前の去年春に、同者の著書、「旅の反復 世界のウチナーンチュを訪ねて 父と娘の旅道中」(学文社、2018)を読んでいます。沖縄関連の旅モノと踏んで買ったもので、沖縄大学名誉教授の著者が、海外に多く出ているウチナーンチュ移民をラテンアメリカに訪ねたときの旅行記でした。
しかしこれ、読んでみると、本人の備忘録としての日記のような文章が延々と続いていて、何に乗った、誰と会った、何を食べた、どこを見たなどばかりが記されていて、けっして楽しい読み物ではなかったと記憶しています。
それを読んだ時点でこちらの本もすでに購入していたのですが、同じような内容だったらいやだなあと思い、それから1年近く書棚に置いたままとなっていました。
ところが、このたびようやくこちらを読んでみると、以前読んだものとは全く違って、著者が若い頃に一人で海外旅行をした時のことを、当時のメモなどの記録を元に再構築したもので、次に何が起こるのかと興味深く読める、立派なトラベル・ストーリーなのでした。まったく期待せずに読み始めたので、こういうこともあるのだな、本は読んでみなければわからないものなのだなと、改めて感じたところです。
難聴だった著者は25歳の時、仕事も決まらない状態で、ユーラシア大陸横断の旅に出る。
さらにラテンアメリカ縦断ひとり旅を続けるうちに、たどり着いたのが港・沖縄。
「行き着くところが、行きたいところ」スタイルの旅を生きてきた著者の「修業時代」。
――というもの。
旅は、1970年代。ユーラシア大陸を横断する初めての海外旅行と、その4年後のラテンアメリカへの一人旅のことが記述されています。管理人の私が初めてバックパックを背負ってヨーロッパへの旅に出たのは1982の年の2月だったので、その少し前のヨーロッパの街の様子が書かれているあたりを興味深く読んだところです。ユーレイルパスを使い、宿泊代を浮かすために夜行列車内で寝ている点などは、自分のときも同じでした。
本の最後には、ラテンアメリカ一人旅のあと、沖縄に住むことになった経緯についても記しています。
(2020.12.17 読)
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