FC2ブログ


   大和学芸図書  2,300円
   1980年4月30日 第1刷発行

 2016年5月に奄美大島と加計呂麻島の歌碑めぐりの旅をして、それらの碑や奄美の歴史を知るにはこの本は避けて通れないだろうと考えて、帰宅後すぐに入手した古い本です。
 1980年に出版されたものを古書で買ったところ、紙が茶色くなり埃っぽい感じのする古色蒼然たるものだったので、しばらく本棚で眠っていましたが、このたびようやくページを開いてみました。横になって読むとたちまち鼻がぐすぐすになりそうなので、終始デスクで姿勢を正して読みました。なんたって40年以上も前の本ですから。(笑)

 もともと南海日日新聞に100回にわたって連載されたものを、のちに1冊にまとめて単行本として出版されたもの。巻頭の栄喜久元(奄美の民俗研究家)の文章によれば本書は、「奄美8島を通したもので、碑石に刻字のあるものは収載し、それを参考文献と古老からの聞き書きで補い、著者の見解を付してある。刻字のないものについては、文献と口碑をもとにして筆者の見解が加えられている。……この「碑のある風景」が島の歴史を実証する資料として、また資料が乏しいといわれる奄美の歴史の欠落部分を補う貴重なものである」と記しています。

 読んでみて初めて知ったことが多いです。歴史の奥深くまで入り込んでいて、観光気分では行けないようなものまで登場します。
 第1章では、直川智、丸田南里、朝虎松、昇曙夢、泉芳明などの「奄美の近代を拓いた先覚」について、第2章は、西郷隆盛、村田新八、重野安繹、名越左源太、実久三次郎などについて述べた「道の島の流人たち」、第3章は、母間と犬田布騒動、諸鈍の史跡、ムチャカナ、笠利鶴松、ばあ加那、カンツメ、イマジョなどについて描かれた「鬼哭啾々、圧政の歴史」、第4章は、芦花部一番の碑、塩道長浜、嘉徳・鍋加那の碑、節子のトミなどの伝説を追う「島を彩るロマンと伝説」、第5章は、赤木名の戦没者慰霊碑、戦艦大和の碑、蘭館山の殉職慰霊碑、塩浜の塩田記念碑、篠川農学校の碑などを扱った「悲惨な島々の戦跡」――となっています。

 実際に現地まで足を運んで見てきているところもあるので、興味深く読めたところ。もちろん本書で初めて触れることができ歴史上のエピソードも多くあり、それらを知ることでさらに奄美の島々の魅力に気づかされました。
 ついては、喜界島が未踏になっているのでそこと、可能であれば請島・与路島にも足を延ばす旅を企画してみたいと思ったところです。
(2021.1.12 読)

関連記事
Secret