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   小学館文庫  657円+税
   2003年9月1日 第1刷発行

 このところの読みかけとなっていた3冊を読み終えて、次の本へと向かいます。司馬モノとハードボイルド小説を読むことが続いたので、趣向を変えて書棚からフード関連のこの本を取り出しました。

 雑誌「anan」や「Hanako」、情報テレビ番組「王様のブランチ」(TBS系)、さらには日本経済新聞など数多くのマスコミで紹介され、サラリーマン・OLの間で人気の、アジアのお弁当屋台「アジアンランチ」。
 経営者夫妻が自ら訪ね歩き、実際に味わって見つけたアジア各国のメニューをテイクアウトスタイルで販売している140のメニューの中から、家庭で作れて味わえるメニューを厳選して紹介。
 夫妻が訪れたアジア各国の料理エピソードも交え、簡単!美味!のレシピを初公開。(カバー裏表紙から)
 というもので、薄いものである上にビジュアル的なものなので、あっという間に読み終えてしまいました。
 登場するのは、タイ、ベトナム、マレーシア、シンガポール、インドネシア、バングラデシュ、インド、スリランカ、パキスタン、シリア、中国、韓国、沖縄の47品目。写真がよく撮れているので、おいしそう感が極めて高いです。「ぶっかけごはん」を謳っていますが、そうではないものも多く紹介されている、優れたレシピ集になっています。

 ビジュアル本を堪能して涎が出そうになったあとは、やっぱり活字方面に向かいたくなりました。

(2024.3.20 読)

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   ハヤカワ文庫JA  760円+税
   1995年8月15日 第1刷
   2011年9月15日 第44刷発行

 東直己を読むのは、「半端者-はんぱもん-」(2011)に次ぐ2作目となります。
 当作は、「ススキノで便利屋をなりわいにする〈俺〉は、いつものようにバーの扉をあけた。が、今夜待っていたのは大学の後輩。同棲している彼女が戻ってこないという。どうせ大したことあるまいと思いながら引き受けた相談ごとは、いつのまにか怪しげな殺人事件に発展して……。ヤクザに脅されても見栄をはり、真相を求め〈俺〉は街を走り回る。面白さがクセになる、新感覚ハードボイルド第一弾!」(カバー裏表紙から)というもの。
 読み始めた段階では、近時読んでいる原尞の作品群の文体よりも平易で読みやすい印象があるのですが、それは角度を変えればハードボイルド的な鳥肌の立つようなヒリヒリした文章ではないとも言え、どちらがよいのかにわかに判断がつきません。……が、読み進めるにしたがって、原尞を読んだあとではあまり楽しいとは思えなくなり、読むスピードが鈍ってしまいました。

 舞台となる札幌すすきの界隈は、去年の初夏に数日間滞在してたっぷり歩いているので、ある程度地理感覚があり、それなりに読むことができます。しかし表現形態としては、原と違って書きたいことをそのまま書きなぐっている感じがして、平穏に読んでいるのが当方としては辛いレベルの文章になっています。著者は、そういう書き方が「粋」なのだと思っているのかもしれません。
 こういう文体が好きだという人も世の中にはいるのかもしれませんいが、当方としては書いている者が愉しいだけで、このような文章が平然と公表されていることに読者側が恥ずかしさを覚えてしまうほどであるならば、誠意のない書き手としか思えず、どうにも好きにはなれません。
 批評として手厳しいかもしれませんいが、作家は得意になるばかりで反省しようとしないのであれば、このくらいでちょうどいいと思ってしまいます。まがりなりにも金を取って読ませているわけなのですから、金の出し手である読み手もしっかり声を上げていかねばなりません。

 チンピラたちのすすきのでの日々や、ユニークな北海道弁の会話などがいい点として目につくものの、ストーリーのほうはイマイチで、残念ながら早く読み終えて次に進みたいという心境になりました。

(2024.3.18 読)

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   文春文庫  590円+税
   1998年10月10日 新装版第1刷
   2004年1月20日 第12刷発行

 池田屋ノ変、蛤御門ノ変と血なまぐさい事件が続き、時勢は急速に緊迫する。しかし幕府の屋台骨はゆるんだようにも見えない。まだ時期が早すぎるのだ……次々死んでゆく同志を想い、竜馬は暗涙にむせんだ。竜馬も窮迫した。心血を注いだ神戸海軍塾が幕府の手で解散させられてしまい、かれの壮大な計画も無に帰してしまった。(カバー裏表紙から)

 いよいよ時勢が大きく動き始めるところに入ってきたという印象。
 元治元年(1864)になり、長州藩が暴発するのではないかという噂が世間に広まり始め、竜馬の近くでも神戸海軍塾の塾生たちが、長州藩士たちと行動を共にするため京都河原町の長州藩邸に向かいます。
 長州藩士や彼らに同調する浪士たちは、池田屋で会合を開き、京都に火を放って孝明天皇を御所から長州に連れ去ろうと計画します。しかし、この計画は事前に新選組の知るところとなり、池田屋に集まっていた浪士たちは次々と命を落としていきます。
 「池田屋ノ変」から1か月後には、長州藩兵が京都になだれ込む「禁門の変」が起こります。しかし、長州藩兵は薩摩藩と会津藩によって退却させられ、多くの志士たちが命を落としました。長州藩はもはや壊滅するのではないか?!
 一方神戸海軍塾は、塾生の中から池田屋ノ変に加わった者が出たことで、解散させられることに。

 このような中、竜馬は、勝海舟の紹介によって薩摩藩の西郷吉之助(西郷隆盛)と面会し、新たな旅に出発することになります。もしもこの時、竜馬が西郷に出会わなければ、明治維新は実現していたでしょうか。

(2024.3.11 読)

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   角川文庫  640円+税
   2017年2月25日 第1刷発行

 マンガやアニメ、特撮映画などで描かれる設定やエピソードは、科学的にどこまで正しいのだろうか? 初刊行から20年、累計500万部突破のベストセラー「空想科学読本」シリーズから、原稿31本を厳選、全面改訂して収録する。
 本書で検証するのは「ウルトラマン」「ONE PIECE」「名探偵コナン」「シン・ゴジラ」「おそ松さん」など、世代を超えて愛される作品の数々。爆笑の果てに、人間が描いた夢の世界の素晴らしさが見えてくる!(カバー裏表紙から)

 著者の柳田理科雄は、1961年、鹿児島県種子島生まれ。県立鶴丸高校卒業後、京都での浪人生活を経て東京大学理科1類に進学。在学中に子供に勉強を教える面白さに目覚め、中退して学習塾講師の道へ。96年、塾経営のかたわら著した処女作「空想科学読本」が大ヒット。99年に空想科学研究所を設立し、現在はその主任研究員の職に専念し、執筆と研究を精力的に行っているとのことです。「理科雄」は本名のようです。

 この本、身近な物事を理科学的に捉えようとするもので、面白い一面はあります。しかし、誰もが親しみやすいようにと、かつて流行ったマンガやアニメを題材にして書かれていることが、当方にとっては逆に読み進めるうえでのネックになっています。子供の頃にマンガやアニメをじっくりと見ることが少なかったためです。

 鉄腕アトムやウルトラマンぐらいならなんとかついていけないこともありませんが、これらであっても細部になると覚えているシーンが少ないし、ほかのキャラクターに至っては読んだことも見たこともないものが次々に出てきます。
 ケンシロウの言う「おまえはすでに死んでいる」とは?/ラピュタを空中に浮かせる「飛行石」とは?/「キャプテン翼」の「スカイラブハリケーン」とは?/空気を蹴って空を走った「ONE PIECE」のサンジって誰?/「猫ピッチャー」のミー太郎って何?/「ガラスの仮面」で大晦日に120軒の出前をしていた北島マヤなんて人も知らない……。
 という具合に、本題に入る前提として誰もが知っていることが、こちらにとっては無知ということが多過ぎるのでした。「空想科学読本」はこのほかにも続編が出ていますが、これ以上読んでも無知な自分がみじめになるだけなので、それらについては買うのをやめようと思ったところです。(苦笑)

(2024.3.10 読)

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   ハヤカワ文庫JA  680円+税
   1996年4月15日 第1刷
   2001年4月15日 第11刷発行

 まるで拾った宝くじが当たったように不運な一日は、一本の電話ではじまった。私立探偵沢崎の事務所に電話をしてきた依頼人は、面会場所に目白の自宅を指定していた。沢崎はブルーバードを走らせ、依頼人の邸宅へ向かう。だが、そこで彼は、自分が思いもかけぬ誘拐事件に巻き込まれていることを知る……。
 緻密なストーリー展開と強烈なサスペンスで独自のハードボイルド世界を確立し、日本の読書界を瞠目させた直木賞受賞作。(カバー裏表紙から)

 1988年発表のデビュー作「そして夜は甦る」の続編という位置づけのもので、西新宿に事務所を構える中年私立探偵・沢崎を主人公としたシリーズものです。
 これがミステリー・ランキング「このミステリーがすごい!」で1位となり、直木賞まで受賞した作品となったもの。

 著者は「後記」で、この第2作目となる長編を1年半かけて書いたと記しています。当人は困惑するほどの遅筆ぶりだとしていますが、読んでみるとこの文章が、何度も何度も推敲され、じっくりと練っているものであることがよくわかります。
 そのことをすごく丁寧なことだと思えるか、反対にいじり過ぎた文章だと感じるかで、原尞の評価は変わってくるのではないかと思われます。
 また、原尞の文章は状況等を説明する記述が多く、会話部分が少ないので改行が少なく、その上1996年初刷の体裁のままポイントの小さい文字が使われていて、ページが文字でぎっしりになっているので、あまり読みやすいものになってはいません。

 巻末には、著者が著者自身の過去のことを、さも探偵が身元調査をするようなやり方で“調査”している様子を文章にしたものが掲載されています。
 それは、荻窪駅近くの薄暗いライブハウスで、調律の怪しいピアノを面白くもなさそうに弾いているシーンから始まります。そして、探偵が調査した結果がクライアントに報告されることで、原尞の経歴が明らかにされていく――というもので、これも面白い趣向ではありました。

 原尞の第3作目「さらば長き眠り」の文庫本が古書市場で手に入らない状況が続いていましたが、その単行本ならアマゾンで出ていたので、送料込み281円で発注しました。その後、「それまでの明日」も単行本を220円で入手することができ、これで原尞の長編と短編集6作品のすべてが手に入りました。

(2024.3.10 読)

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   光文社文庫  590円+税
   1997年8月20日 第1刷
   2007年10月25日 第37刷発行

 まとめて読もうと思っている大沢在昌の作品群。佐久間公シリーズ6作品を読み終え、次は大沢の出世作の新宿鮫シリーズを攻めます。当方、これが大沢の12冊目となります。

 ただ独りで音もなく犯罪者に食らいつく――。「新宿鮫」と怖れられる新宿署刑事・鮫島。
 歌舞伎町を中心に、警官が連続して射殺された。犯人逮捕に躍起になる署員たちをよそに、鮫島は銃密造の天才・木津を執拗に追う。
 待ち受ける巧妙な罠! 絶体絶命の鮫島……。登場人物の圧倒的な個性と最後まで息をつかせぬ緊迫感! 超人気シリーズの輝ける第1作、ついに登場!(カバー裏表紙から)

 読後感から述べると、登場人物が限定的だったためか、佐久間公シリーズを読んだときよりも内容がわかりやすかった印象がありました。そう思いながら北上次郎の解説を読んで、なるほどと思ったところ。登場人物のキャラクターが“濃い”のです。

 主人公の鮫島は、新宿署で孤立無援のキャリア警部で、署でも迷惑がられている唯一の単独遊軍捜査官という設定です。
 そのまわりを固める人物たちも、際立っています。交通事故で家族を失って以来無感動に勤務を続けている変人上司の桃井は、やるときはやります。14歳下の恋人のロックシンガーの晶(しょう)は、主人公の生き方、考え方を映す鏡の役割をしています。精巧な拳銃を密造する木津の不気味な肖像は、作品全体に暗くてグロテスクな心象を加えています。

 北上は当作が、「冒頭からラストまで、目一杯に緊迫感がみなぎる警察小説の傑作であり、ストーリー構成から人物造形に至るまで文句のつけようがないほど迫力に満ちた長編小説」であると絶賛していて、当方も同様の感想を抱いきました。

 新宿鮫シリーズはすでに10冊目まで購入していますが、この内容であれば2冊目以降も期待でき、軽快に読み進めることができそうです。

(2024.3.2 読)

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   文春文庫  629円+税
   1998年9月10日 新装版第1刷
   2009年11月10日 第20刷発行

 第3巻読了後、すぐに取りかかった第4巻。
 志士たちで船隊を操り、大いに交易をやり、時いたらば倒幕のための海軍にする――竜馬の志士活動の発想は奇異であり、ホラ吹きといわれた。世の中はそんな竜馬の迂遠さを嘲うように騒然としている。
 反動の時代――長州の没落、薩摩の保守化、土佐の勤王政権も瓦解した。が、竜馬はついに一隻の軍艦を手に入れたのであった。(カバー裏表紙から)

 1863年、薩摩藩士が過激攘夷論者の公卿を暗殺したことを契機に、薩摩藩は御所警護の役を解かれ、京都朝廷周辺は急進派の長州藩が握ることとなります。
 長州憎しの薩摩藩はこれに対抗するべく、佐幕派で京都守護職の会津藩と同盟し、京都から長州勢力を一挙に駆逐しようと図ります。
 世に言う「禁門の政変(蛤御門の変)」で、幕末の政界が複雑怪奇に動く、最も面白いところにさしかかっています。

 このペースで読んでしまうのが惜しい「竜馬がゆく」の全8巻。ハードボイルド系や、買い集め始めた北方謙三の「水滸伝」全20巻などを間にはさみながら、大事に、ていねいに読んでいこうと思っています。
 「竜馬がゆく」を読み終えたなら、次は「翔ぶが如く」全10巻を読もうと思っています。

(2024.2.29 読)