2022.09.10
琉球フェス東京2022インプレ08 フィナーレ(完)
時刻は19時10分。ステージに出演者全員が上がって、このうちよなは・大工・幸人の3人にきいやまのマットが入り、帽子を取ってライト「4」兄弟が勢揃いとなる。これがつまりは、今回の「琉フェス以外では見られない名場面」になってしまうのか?!(笑)

(これが「ライト3兄弟」)
誰が、何を、どういう順番でうたうか、この時までまったく相談していた様子がみえず、ステージ上でどうするかをあちこちで相談し始める出演者たち。「じゃあまず、徹、お前がうたえ!」と酔っぱらった幸人が指示を出すのだがそうはならず(笑)、まずは正調の「安里屋ユンタ」を女性軍たちがうたい始める。
次は、よなはが音頭を取って「永良部百合の花」を。そうなれば、沖永良部出身の前田博美が続いて、♪ アンガヨーサトゥ ナイチャシュンガシュンガ……と。
そうなると唄の島めぐりが始まり、今回は参加者がいなかったが、宮古島の「漲水のクイチャー」へ。ここでは苗子が一歩前に出て、女性軍たちのクイチャー踊りを先導する。これもいいなあ、♪ ニノヨイサッサイ ヒーヤサッサー!
続いては「八重山六調」。大工や幸人がうたい、苗子が張り切って踊る。
そして最後は本島に戻って、やはりこれ、「唐船ドーイ」だ。
よなはが速弾きをしながらうたい、そろそろ終わろうという雰囲気になっても大工が次々に歌詞を繰り出してくるのでなかなか終わらない。苗子とゴリが掛け合いの踊りを見せている。
琉フェスでは、古くは嘉手苅林昌と登川誠仁の唄合わせ、喜納昌永・昌吉親子の競演、古謝美佐子・我如古より子・玉城一美によるオキナワ・チャンズの復活、初々しかった鳩間可奈子の独壇場、加治工勇の「鳩間の港」ダンスなど、数々の名シーンがあったが、今回は苗子が持っていったな。
よなはが速弾きで華麗に締めて、19時半、閉演。来年は客席で飲もうね~!とゴリ。
ああ、楽しんだ。また来年、来られたらいいな。
今夜は東京に宿を取ってあるので、ゆっくり帰っても大丈夫。思い返すと今回は、当日追加やサプライズの出演者はなかったな。

ということで、自身としては3年ぶりに楽しめた今年の琉フェスだった。出演者の皆さん、今年もありがとう!
以下に、今回の琉フェスに関する沖縄タイムスの記事、そして、ゴリと大工苗子サン関連の参考として、去年の琉フェス後にゴリが書いた沖縄タイムスのコラムの一部を掲載しておく。
・沖縄タイムス 2022.8.30
沖縄のアーティストが東京に勢ぞろい!
日比谷野音で「琉球フェスティバル」
2,500人を魅了
沖縄のアーティストが一堂に会する「琉球フェスティバル2022」が28日、東京都千代田区の日比谷野外大音楽堂で開かれた。1974年の初開催から26回目。琉球民謡から沖縄ポップスまでの6組が熱いステージを繰り広げ、2,500人の観客を魅了した。
琉球オールスターズ、きいやま商店が登場したほか、成底ゆう子さんは「ダイナミック琉球」、よなは徹バンドは「いつか夢をつかむまで」などを熱唱した。
大工哲弘さんは、妻の苗子さんの伴奏で張りのある渋い歌声を披露。パーシャクラブの「海の彼方」で会場の盛り上がりは最高潮を迎えた。最後は全員で「安里屋ユンタ」「唐船ドーイ」を歌い、カチャーシーで締めくくった。
大工さんは「沖縄は日本復帰50年の記念の年。沖縄の音楽ファンとして、これからも応援してほしい」と呼びかけた。 (東京報道部・照屋剛志)
・沖縄タイムス ガレッジセール ゴリさんのコラム(一部) 2021.11.26
「拝啓 元ヤンの臭いがする苗子さま」
胸ぐらつかまれるんじゃないかとドキドキ
「拝啓、元ヤンの臭いがする苗子さまへ」。
八重山民謡の重鎮、大工哲弘さんの妻、苗子さま、お元気ですか? 先月、東京の日比谷野外音楽堂で行われた「琉球フェスティバル」での再会、僕は胸ぐらをつかまれるんじゃないかとドキドキしておりました。
なぜなら僕が監督した映画「洗骨」を見たアナタが「面白かったよ、軟骨」と言い間違えたことを、この連載に書いたら、すぐ抗議の電話をかけてきて「ゴリぃ!あんたのせいで道歩くと回りから、ナンコツ!ナンコツ!って、バカにされるだろぉ!」とまるで借金取りのような口調で責め立ててきたからです。
僕は借金もしていないのに、アナタにお金を払いそうになりました。でも再会したアナタは怒ることもなく「今も周りがナンコツ、ナンコツって言ってくるからさぁ、私はナンコツじゃなくてトンコツですっ!って言い返すようにしてるさぁ」と自分の失敗談をネタに変え、たくましく生きている姿を伝えてくれましたね。アナタなら氷河期でも死なないでしょう。――

(これが「ライト3兄弟」)
誰が、何を、どういう順番でうたうか、この時までまったく相談していた様子がみえず、ステージ上でどうするかをあちこちで相談し始める出演者たち。「じゃあまず、徹、お前がうたえ!」と酔っぱらった幸人が指示を出すのだがそうはならず(笑)、まずは正調の「安里屋ユンタ」を女性軍たちがうたい始める。
次は、よなはが音頭を取って「永良部百合の花」を。そうなれば、沖永良部出身の前田博美が続いて、♪ アンガヨーサトゥ ナイチャシュンガシュンガ……と。
そうなると唄の島めぐりが始まり、今回は参加者がいなかったが、宮古島の「漲水のクイチャー」へ。ここでは苗子が一歩前に出て、女性軍たちのクイチャー踊りを先導する。これもいいなあ、♪ ニノヨイサッサイ ヒーヤサッサー!
続いては「八重山六調」。大工や幸人がうたい、苗子が張り切って踊る。
そして最後は本島に戻って、やはりこれ、「唐船ドーイ」だ。
よなはが速弾きをしながらうたい、そろそろ終わろうという雰囲気になっても大工が次々に歌詞を繰り出してくるのでなかなか終わらない。苗子とゴリが掛け合いの踊りを見せている。
琉フェスでは、古くは嘉手苅林昌と登川誠仁の唄合わせ、喜納昌永・昌吉親子の競演、古謝美佐子・我如古より子・玉城一美によるオキナワ・チャンズの復活、初々しかった鳩間可奈子の独壇場、加治工勇の「鳩間の港」ダンスなど、数々の名シーンがあったが、今回は苗子が持っていったな。
よなはが速弾きで華麗に締めて、19時半、閉演。来年は客席で飲もうね~!とゴリ。
ああ、楽しんだ。また来年、来られたらいいな。
今夜は東京に宿を取ってあるので、ゆっくり帰っても大丈夫。思い返すと今回は、当日追加やサプライズの出演者はなかったな。

ということで、自身としては3年ぶりに楽しめた今年の琉フェスだった。出演者の皆さん、今年もありがとう!
以下に、今回の琉フェスに関する沖縄タイムスの記事、そして、ゴリと大工苗子サン関連の参考として、去年の琉フェス後にゴリが書いた沖縄タイムスのコラムの一部を掲載しておく。
・沖縄タイムス 2022.8.30
沖縄のアーティストが東京に勢ぞろい!
日比谷野音で「琉球フェスティバル」
2,500人を魅了
沖縄のアーティストが一堂に会する「琉球フェスティバル2022」が28日、東京都千代田区の日比谷野外大音楽堂で開かれた。1974年の初開催から26回目。琉球民謡から沖縄ポップスまでの6組が熱いステージを繰り広げ、2,500人の観客を魅了した。
琉球オールスターズ、きいやま商店が登場したほか、成底ゆう子さんは「ダイナミック琉球」、よなは徹バンドは「いつか夢をつかむまで」などを熱唱した。
大工哲弘さんは、妻の苗子さんの伴奏で張りのある渋い歌声を披露。パーシャクラブの「海の彼方」で会場の盛り上がりは最高潮を迎えた。最後は全員で「安里屋ユンタ」「唐船ドーイ」を歌い、カチャーシーで締めくくった。
大工さんは「沖縄は日本復帰50年の記念の年。沖縄の音楽ファンとして、これからも応援してほしい」と呼びかけた。 (東京報道部・照屋剛志)
・沖縄タイムス ガレッジセール ゴリさんのコラム(一部) 2021.11.26
「拝啓 元ヤンの臭いがする苗子さま」
胸ぐらつかまれるんじゃないかとドキドキ
「拝啓、元ヤンの臭いがする苗子さまへ」。
八重山民謡の重鎮、大工哲弘さんの妻、苗子さま、お元気ですか? 先月、東京の日比谷野外音楽堂で行われた「琉球フェスティバル」での再会、僕は胸ぐらをつかまれるんじゃないかとドキドキしておりました。
なぜなら僕が監督した映画「洗骨」を見たアナタが「面白かったよ、軟骨」と言い間違えたことを、この連載に書いたら、すぐ抗議の電話をかけてきて「ゴリぃ!あんたのせいで道歩くと回りから、ナンコツ!ナンコツ!って、バカにされるだろぉ!」とまるで借金取りのような口調で責め立ててきたからです。
僕は借金もしていないのに、アナタにお金を払いそうになりました。でも再会したアナタは怒ることもなく「今も周りがナンコツ、ナンコツって言ってくるからさぁ、私はナンコツじゃなくてトンコツですっ!って言い返すようにしてるさぁ」と自分の失敗談をネタに変え、たくましく生きている姿を伝えてくれましたね。アナタなら氷河期でも死なないでしょう。――
2022.09.09
琉球フェス東京2022インプレ07 Parsha cluB(パーシャクラブ)

さあ、トリはいつものパーシャクラブだ。
上地正昭がリーダーとなり、八重山民謡界の旗手・新良幸人をヴォーカルに据えて、1993年に結成された、沖縄音楽をロック、ファンク、ジャズ、レゲエ、ラテンなどと見事に融合させたバンドだ。彼らの作品の多くは、数々のCMや番組のテーマソングに起用され、また国内外のアーティストにもカバーされている。
何と言っても、冴えわたるステージングと安定感のある演奏技術が、彼らの最大の魅力だ。琉フェスにおけるセットリストはほぼ毎回同じようなものだが、そのライブシーンを何度見ても何度聴いても飽きず、新たな発見や感動があるのがすごいところだと思う。
メンバーは、上地正昭(Gt)、新良幸人(Vo・三線)、津波古慈乃(Dr)、仲宗根哲(Per)の4人は不動だが、神村英世(2019年逝去)が抜けたベースにはサポートメンバーとして福元梢(KOZ)が入っているようだ。キーボードの新川“マッタラー”雅啓もサポートメンバーなのかな。
まずは定番のエイサーソング「固み節」から。
夜になってステージのライティングの彩りがぐっと増してきて、今年で還暦だという上地のチュンワチュンワと奏でるギターの音色がグルービーに響く。そんな上地のギターも出色だが、慈乃の刻むドラムも正確無比だ。ふと思ったが、パーシャの高い音楽性は、慈乃とサンデーのリズムセクションが担うビートのインパクトなり正確性が根幹にあってこそ、維持されているのではないか。
いつもの黒いパンツに、この日は黒地に赤と白の模様が入ったシャツといったいで立ちの幸人は、曲の最後でメンバーを紹介し、うたい終えて「晴れてよかった!」と端的に我々聴衆の嬉しさを表現してくれる。
そして、「待ち時間が長かったので、もう飲んでいるもんねー」と体をくねらせながら言い、ステージ上でビールを呷る幸人と一部のメンバー。それを羨ましがってざわつく客席に向かって「大きい声を出すな!」と一喝した上で、「大きい声は出すなと、声を大にして言いたい」と訳のワカラヌことを言って、笑いを取る。このあたり、うまいな。大工とは違うな。(笑)
そして、「今日は新月、満天の星だといいね」と言いつつ、「海の彼方」を。
ああ、いいなあ。観客たちの挙げた両手がステージからの逆光線を浴びて、海のさざ波のようになびく。

3曲目は「五穀豊穣」。
一時幸人は、琉フェスというと変なコスプレ姿で登場することが多かったが、今回は変装行動はなし。むしろこういういわば“正調”のパーシャはすごく新鮮だったりするではないか。
最後は、ダブルパーカッションのパンチのあるイントロから始まって、「東(あがり)バンタ」。う~ん、今回も唸らせられたぞ、パーシャクラブ。
2022.09.08
琉球フェス東京2022インプレ06 大工哲弘 with 苗子

NHKの朝ドラ「ちむどんどん」を話題にした長めのMCがあって、日が暮れて空がいい色になった頃合いとなり、次は大工哲弘 with 苗子だ。
以前は夫・大工哲弘を苗子夫人がサポートするという形をとっていたものだが、このごろは“with苗子”となり、奥様の存在感が徐々に増してきている感じだ。そうなる理由も寄る年波ということがあって、テッチーは今年で74歳。1回目の琉フェスから今も参加しているのは彼だけとなり、頭は禿げ、身体はずいぶん細くなっている。
蛇足だが、1回目の参加者で存命中の知名定男は77歳、司会をしていた照屋林助(故人)の息子の照屋林賢でさえ、もう73歳になっている。
その点、苗子夫人は元気なもので、確かテッチーよりも幾分若い上に、しっかりと女性として動じない“老人力”も加わってきて、意気軒昂のようだ。
1曲目は、大工が朗々と「月ぬ美しゃ」を生唄で。
これって、ホントはオケでやるところを、先ほどきいやまのところで使っちゃったので、こうなったと読んだのだがどうだろう。
大工はドラマ「ちむどんどん」にも、民謡歌手を目指していた主人公の父の師範・上原照賢として登場し、この「月ぬ美しゃ」を短い放映時間の多くを使ってたしか2番までうたったのだった。さすが大工!といったところか。
ここ日比谷では、歌詞の3番からは三線・笛・太鼓、そして苗子の奏でる琉琴が加わった。まだまだイケルぞ、大工!
2曲目は、これは「祝安里屋節」なのかな。
歌詞に何度も出てくる“世(ゆ)ばなうれ”は“豊作・豊年の世になれ”という意味だ。
うたい終えて大工が、いつものダジャレとくどさのあるMCを。(笑) 帽子を取ってつるりとなったところを見せ、自らを沖縄民謡界のレジェンドと称し、「大工から改名して上原照賢です!」と発言する。
そして、日本になって50歳となった沖縄をこれからもよろしくと言いつつ、その年月で具志堅用高はずいぶん日本語がうまくなった、私もそうだと述べて、笑いを取るのだった。
そして3曲目は、自慢の「とぅばらーま」を、沖縄の現状を歌詞に託してうたいたいと、たっぷりの思いを込めて。これをうたわせたら、やはり大工は今でも第一人者かもしれない。

ここで苗子が琴の前から三板を持って前に出てきて、うたうは「沖縄を返せ」だ。
懐かしいなあ、自分が初めて参加した2000年の琉フェス東京では、これを演ったところ客席から「共産主義者!」「帰れ!」などのヤジが飛んだことを思い出す。あれから時代は変わったが、この歌を復帰50年の節目にこの場でうたうことに意義があるはずだ。
歌詞の一部を「沖縄へ返せ」と変えてうたうのが大工流。従来は1番の歌詞を繰り返しうたうのが通例だったが、今回はきっちり3番まで全部歌詞を変えてうたっていた。
次も、その当時からステージでよく演じていた「つぃんだら節」だ。
あの頃はツゥンダラーズとして苗子ともう一人の女性が二人で踊っていたものだが、今は苗子が一人で。動きの速い振付けだが、ポニーテールを揺らして飛び跳ねるようにやっていたあの頃ほどではないものの、今もガンガン踊っているところはすごい。
よなは十三夜、ボクは十四夜、幸人は十五夜、3人そろってライト兄弟なんだよねぇ……という大工のMCでひと心地ついて、次は「マミドーマ」。鎌や鍬を手に、上着の片袖を下した苗子が踊る踊る。
でもって最後は「さよなら港」。
これも苗子がマドロス役になってステージを右に左にと動き回り、最後は紙テープを観客に投げ込み、大喝采を受けるのだった。なんだか今回の琉フェスは、意外なことに苗子がみんな持っていくような感じになってきたな。
大工と苗子が去ったところに出てきたゴリは、「ちむどんどん」で上原照賢役の大工が慣れない演技のため緊張し、歌子役の上白石萌香との接近シーンで、彼女の面前で屁をこく大失敗を犯したという真偽定かならざる失敗談を暴露して、会場大笑いとなるのだった。

(ドラマ「ちむどんどん」にも民謡の師匠役で登場した)
2022.09.07
琉球フェス東京2022インプレ05 よなは徹バンド

4番手はよなは徹バンド。
ミュージシャンというよりも、琉球古典音楽家と言ったほうがしっくりくる彼は、今や沖縄島唄界の第一人者と言っていいのではないか。さまざまな唄者をバックで自在にサポートできるという強みも持っている。
サポートで思い出したが、以前の琉フェスは、琉フェスでしか見られないような唄者同士のコラボレーションや唄あわせが見られたものだが、近時は各出演者が一定の時間をもらって単独で演じることが多くなった。今回のトップバッターのようなちゃちい組み合わせではなく、かつては大物同士が最初で最後というような見どころをつくっていたものだったのだ。
ゴリが舞台裏の様子をステージ上で逐一報告するのだが、その中には大工苗子が初々しいオールスターズの若手3人を前にして、まだスターにもなっていない者が集まってオールスターズを名乗っているとこき下ろしていると暴露して笑いを取っていた。でもこれは、過去の琉フェスを知る苗子サンの言っていることのほうが正しいと、自分も思う。(笑)
さて、よなは。近年では古典音楽をフィーチャーしたCD「Roots~琉楽継承」を2作リリースしていて、これらに続く3作目を数日前にリリースしている。沖縄音楽の通を名乗る以上は、この3作は買っておかなければならないのだろうな。
なお、よなは徹バンドのメンバーは、よなは徹(Vo・三線)のほかに、金川哲也(Gt)、ドン久保田(Ba)、玉置淑晴(Kb)、末吉ヒロト(Dr)であるとのこと。
バンドでの参加のため、今回はヘヴィロック調。よなはは「雨たぼぅれ、天加那志~」とひとがなりして、1曲目は、ちょっとはっきりしないのだけどこれは「御祝さびら」?
CD「子の方(にぬふぁ)~Polaris~」(2015.2)の1曲目に収録されていたものではないかと思う。よなはに関しては「Roots~琉球祝歌」(2009.9)以降聴いていないので、判然とせず申し訳ない。
続く2曲目もグルービーな曲だが、これは初めて聴く曲。
♪ てぃーだ てぃーだ…… と連呼する場面や、スイッ、ハッといったエイサー風の掛け声が入るものだった。

3曲目はわかる。(笑) 「花の風車~スンサーミー」だ。
バンド形式でやる場合はたいていブッキングされるものだし、古来の沖縄民謡を彼が編曲したものの中では最もデキのいいものではないだろうか。
だが、三線のチューニングかベースのノリがイマイチのせいなのか、いつもよりも律音階に振れていたように感じたのは気のせいだっただろうか。ちょっとヘンだった。
4曲目は、バックを入れずに三線の速弾きで「屋慶名クヮーデーサ」を。
こういう素朴な沖縄らしい音のほうが、自分はやはり好きだ。そのチラシには「唐船ドーイ」へと進んで、これはヘヴィに。スピードが徐々に上がってきて、会場の観客もいい感じになる。
盛り上げるだけ上げて終わるのではなく、最後にバラードの「いつか夢をつかむまで」を持ってくるあたり、よなはも大人になったなあと思わせるものがある。
♪ …ジグザグ進む人生航路 どこに立ち止まっても 巡り会ったり愛し合ったり 別れもあるだろう … くじけないで漕ぎ続けろ いつか夢をつかむまで……
といった歌詞で、真正面過ぎて少し気恥ずかしくなる内容かもしれない。それでもよなはは力の限り目一杯の声を出して凛々しくうたうのだった。
今回はかつての三線ケース観客席投げ入れのようなサプライズはなし。よなはは、にふぇーでびたん!と手を振って袖に消えた。
2022.09.06
琉球フェス東京2022インプレ04 成底ゆう子

3番手は、成底ゆう子が、沖縄県人会の締太鼓2人、パーランクーの3人を従えて登場。黒と白のヒラヒラの衣装にハイブーツだ。
成底ゆう子は2009年の大阪開催に初出場して、「この地球(HOSHI)に生まれて」「心の花」「ふるさとからの声」をうたっていたが、東京開催は初出場なのではないか。
石垣島出身。クラシック好きの父の影響からピアノを習い始め、小学3年時には地元の合唱団に入団。高校2、3年時に出場した全国音楽コンクール県大会「声楽部門」で2年連続金賞受賞。武蔵野音楽大学卒業後、歌劇団の研究生となりイタリア研修を経験。帰国後には作詩・作曲活動を始め、ソロアーティストとして活動を開始。
近年では全国高校野球甲子園大会や全国高校サッカー大会などの応援ソングとして話題になった「ダイナミック琉球」を、「応援バージョン」として2018年にリリース。ミュージックビデオの再生回数が新旧合わせて600万回を突破したという。
1曲目は「道標の詩(みちしるべ)」。
これは15世紀の八重山の英雄・オヤケアカハチをうたったもので、平田大一の作詞・作曲によるものだ。わりと勇ましげな歌で、エイサースタイルで演る「ダイナミック琉球」と相通じるものがある。
彼女はその「ダイナミック琉球」でブレイクしてしまった関係上、その路線のものをけっこう歌っているのだが、彼女の心情を察するに、本当はこれらとはちがう、家族やふるさとといったものをテーマにしたピアノ弾き語りのようなパフォーマンスをやりたがっているのではないか。声の質もエイサーには合っていないと思うし。
子役の声優のような漫画チックな声なのに、言葉遣いにはややヤンキーっぽさがあるというちぐはぐな印象のMCをやったあとの2曲目は、その「ダイナミック琉球」を。
口説も入るスタイルはかつて一世を風靡した(というのは言い過ぎか)日出克とよく似ているが、高音の声質や刻むビートの力強さ不足などによって、日出克のような上質な“ちむどんどん”が起こるまでには至っていない。ビジュアルに関しては、成底のほうがずっといいのだけれども。(笑)
ここでエイサー隊が下がり、成底はキーボードを前にして、2010年のメジャーデビュー曲「ふるさとからの声」をうたう。
♪ 故郷から届いた包み 少しの野菜と缶詰と 箱の下には折りたたまれた 母の手紙がありました……
歌詞には彼女の出身地の宮良川や於茂登岳もでてきてこれらが聴き手にズキン。やはり成底はこの路線がとてもしっくりきて、ジンときて、いいですよ。自分が落ち込んでいたある時期、ささくれた心を癒してくれたのも、彼女の「真っ赤なデイゴの咲く小径」だったものな。
琉フェスに出場するには三線演奏は必須だと言う人もいたが、近年はそうでもなくなったようで、成底は三線をいっさい弾かずにステージを終えたのだった。

2022.09.05
琉球フェス東京2022インプレ03 きいやま商店

続いては、きいやま商店。彼らもこの東京琉フェスには欠くことのできないユニットに成長してきているようだ。
改めてきいやま商店について概括すると、バンド名は3人のおばあちゃんが石垣島で営んでいた店の名前からとったもの。兄のリョーサ、弟のマスト、従兄弟のだいちゃんで結成された石垣島出身のエンタメバンドだ。全国で年間100本以上のライブをこなし、パワー溢れるステージパフォーマンスで多くのリピーターを獲得。沖縄県内のCM出演やテレビ番組レギュラー、県外でのラジオレギュラー出演などマルチに活躍している。
今回はこの3人のほかにバックバンド3人を従えての登場している。しかし出だしは、たぶん音声サイドの誤りだと思うが、大工哲弘の独唱する「月ぬ美しゃ」の場違いなイントロダクションでのスタートとなった。しばらくしてヘヴィなサウンドに変わり、いつもの白シャツに細ネクタイ・短パン・ビーサン・中折れ帽といったスタイルの3人が登場する。
1曲目は「僕らの島」。
♪ 僕らはこの島で生まれて育ったんだ 家族と手をつなぎ笑って育ったんだ…… 明るくて、元気のいい歌。3人のハモリがすごくよく、オフビートの曲調もステキだ。これはウケるわねぇ。
ミーファイユー!と島の言葉であいさつし、2曲目は彼らのアイデンティティソングだと思っている「ドゥマンギテ」。
彼らにはドゥマンギた表情がたしかによく似合う。だいちゃんがカスタネットのソロプレーを披露する。三板じゃないのね。(笑)

3曲目は「この歌届け」。
♪ 止まない雨の中で 遠い空を見つめて 逢いたい気持ちを我慢して 君の事考える……といった歌詞の曲で、三線の音色も入れて。
来月から全国シュラヨイ・ツアーが始まるぞと告知をして、4曲目は「シュラヨイ」。
沖縄本土復帰50年を迎える今年5月に、平和と文化継承の存続の願いを込めて製作された楽曲で、配信限定で巷に流れ始めたもの。
♪ シュラヨイヨ 歌え踊れ思いを込めて シュラヨイヨイヨイヨ 願え叫べこの声一つになれ……
叩きつけるような三線のパンチも効いていて、後半には口説も入っていた。これはノリがいいぞ。盛り上がった観客席ではタオルが打ち振られて、これはいい景色だ。
最後は「沖縄ロックンロール」をビシッと決めて締めとなる。
沖縄は青い空と青い海だけじゃないんだぞっ!
ガレッジの2人が「騒がしい3人でしたぁ~!」と出てきても、彼らはもっとMCがしたいと言いつつなかなかステージから去らないのだった。
2022.09.04
琉球フェス東京2022インプレ02 琉球オールスターズ
ハナを担うのは、この琉フェスに向けて結成したという、琉球オールスターズだ。
左から、白色の着流し姿の宜寿次光(ぎすじひかり)、紺の着物で渋く決めた伊藤幸太、白灰色の着物と髪に付けた大きな花飾りがステキな前田博美、島太鼓を前にして控えめに佇むよなは徹の4人が間隔を空けて一列に並んでいる。
(宜寿次光)
宜寿次は1999年コザ生まれの弱冠23歳。珍しいことに、今回の出演者中本当出身者はこの宜寿次とよなはだけのようだ。
(伊藤幸太)
2019年開催にも大工哲弘のサポートとして参加していた伊藤は、東京出身ではあるものの、大工の弟子でなかなかの本格派。信用金庫に勤務しながら活動を続けていて、今年は弟子入り20年目でもあるため、張り切って参加しているようだ。2009年「第15回全島とぅばらーま大会」の優勝者でもある。
(前田博美)
前田は、自分にとっては初対面。沖永良部島出身で、沖縄県立芸大大学院卒の実力派。唄者であり師匠の祖母・前田綾子の影響で島唄・三線を習い始めたという。琉フェスに沖永良部のウタシャが出場するのは、長い歴史の中で彼女が初めてとのことだ。
緊張のためか少し音程をはずした前田のアカペラ独唱があって、4人で「島や唄遊び」を。
これ、♪わしたウチナー果報ぬ島 今日ん揃とてドンミカセ……というもので、上原直彦作詞、知名定男作曲。話が古くなるが、琉球放送の芸能バラエティー番組「ふるさと万才」のテーマソングだったものだ。
ここから一人ひとりがリードを取る形になり、まずは前田が沖永良部の教訓歌「いちきゃ節」を。
同じ沖永良部民謡の「サイサイ節」と曲調や節回しがよく似ていて、こういうのが沖永良部のウタなのかと思ったところ。
琉フェス初参加の宜寿次は、モーアシビ唄の「ナークニー~ハンタ原」を。
おお、沖縄がキタキター!という感じの、登川誠仁のうたい方にも似たコテコテの島唄だ。やはり自分はこういうノリのいい島唄が好きなのだろうな。
八重山民謡の伊藤は「夏花」を、横笛を入れてじっくりと聴かせる。
大工の若い頃のようなたっぷりとした声量がいい。チラシに「佐久田アッパー」へ。うたい終えてから、大工の弟子となって20年、山里勇吉師匠から受け継がれてきた八重山の歌を引き継いでいきたいと、しっかりと意思表示をしていた。
そして最後は「豊年音頭」を4人で。この曲ってフィナーレで使われることが多いのだけど、琉フェスはまだまだ終わらない。

左から、白色の着流し姿の宜寿次光(ぎすじひかり)、紺の着物で渋く決めた伊藤幸太、白灰色の着物と髪に付けた大きな花飾りがステキな前田博美、島太鼓を前にして控えめに佇むよなは徹の4人が間隔を空けて一列に並んでいる。

宜寿次は1999年コザ生まれの弱冠23歳。珍しいことに、今回の出演者中本当出身者はこの宜寿次とよなはだけのようだ。

2019年開催にも大工哲弘のサポートとして参加していた伊藤は、東京出身ではあるものの、大工の弟子でなかなかの本格派。信用金庫に勤務しながら活動を続けていて、今年は弟子入り20年目でもあるため、張り切って参加しているようだ。2009年「第15回全島とぅばらーま大会」の優勝者でもある。

前田は、自分にとっては初対面。沖永良部島出身で、沖縄県立芸大大学院卒の実力派。唄者であり師匠の祖母・前田綾子の影響で島唄・三線を習い始めたという。琉フェスに沖永良部のウタシャが出場するのは、長い歴史の中で彼女が初めてとのことだ。
緊張のためか少し音程をはずした前田のアカペラ独唱があって、4人で「島や唄遊び」を。
これ、♪わしたウチナー果報ぬ島 今日ん揃とてドンミカセ……というもので、上原直彦作詞、知名定男作曲。話が古くなるが、琉球放送の芸能バラエティー番組「ふるさと万才」のテーマソングだったものだ。
ここから一人ひとりがリードを取る形になり、まずは前田が沖永良部の教訓歌「いちきゃ節」を。
同じ沖永良部民謡の「サイサイ節」と曲調や節回しがよく似ていて、こういうのが沖永良部のウタなのかと思ったところ。
琉フェス初参加の宜寿次は、モーアシビ唄の「ナークニー~ハンタ原」を。
おお、沖縄がキタキター!という感じの、登川誠仁のうたい方にも似たコテコテの島唄だ。やはり自分はこういうノリのいい島唄が好きなのだろうな。
八重山民謡の伊藤は「夏花」を、横笛を入れてじっくりと聴かせる。
大工の若い頃のようなたっぷりとした声量がいい。チラシに「佐久田アッパー」へ。うたい終えてから、大工の弟子となって20年、山里勇吉師匠から受け継がれてきた八重山の歌を引き継いでいきたいと、しっかりと意思表示をしていた。
そして最後は「豊年音頭」を4人で。この曲ってフィナーレで使われることが多いのだけど、琉フェスはまだまだ終わらない。
