fc2ブログ
 新千歳空港の2階への吹き抜け通路は広々としていて、グルメワールドの人いきれから解放されてほっと一息。その先には滑走路が見えるフードコートがあり、こちらのほうは安価でカジュアルな店が並んでいて、地元の人々の利用が多いようです。昨晩ジンギスカンが食べられなかったからか、「松尾ジンギスカン新千歳空港店」が気になりました。

1170_20230726074646d8e.jpg
(3階の吹き抜けから2階の「センタープラザ」を望む)

1173.jpg
(フードコート)

1175.jpg
(松尾ジンギスカン新千歳空港店)

 FDAの手荷物受付時間になったのでいったん荷物を預けに行き、身軽になったのをいいことに、こんどは2階のショッピング・ワールドでお土産の調達をします。

1180_202307260746504ca.jpg
(店を数軒はしごして土産物を物色)

 買ったものは、次のとおり。(画像はいずれも拝借モノです)
 札幌で食べられなかった「一幻」のえびそば。北海道のラーメン界ではただいまこれがブレイク中とのこと。
 「もりもと」の北のちいさなケーキ・ハスカップジュエリー。ハスカップジャムをバタークリームと薄焼きクッキーでサンドした、空港店限定詰合せの「ホワイトMIX」を購入。
 「北菓楼」の開拓おかき。5種類ある中から枝幸帆立、えりも昆布、増毛甘エビの3種をチョイス。
 「ROYCE’(ロイズ)」のポテトチップチョコレート(フロマージュブラン)は、ポテトチップの片面に、チーズの風味がほんのり香るホワイトチョコレートをかけたもの。
 「bocca(ボッカ)」の牧家の白いプリンは、地元の「だて牛乳」を用いてミルキーな味わいに仕上げた、風船に入ったまんまるミルクプリン。
 ほかにも買ったものがありましたが、何を買ったのか、もう忘れました。これらを買うことで、二人に与えられた全国旅行支援のクーポン1万6千円分を使い切り、さらに多くの自前資金を投入しました。
 手荷物を預けてしまうと、覚えていられないほどにお土産を買い過ぎてしまうもののようです。

1185.jpg
(「一幻」のえびそば。買ったのは左のほう)

1190_202307260746531ed.jpg
(「もりもと」の北のちいさなケーキ・ハスカップジュエリー)

1195.jpg
(「北菓楼」の開拓おかき)

1200_20230726074656283.jpg
(「ROYCE」のポテトチップチョコレート(フロマージュブラン))

1205.jpg
(「bocca(ボッカ)」の牧家の白いプリン)

 このようなことで、14時35分発の便で山形へ。
 ほぼ定刻の15時50分頃に着陸した山形地方も小雨が降っていて、えらく蒸し暑く感じます。
 自家用車で16時50分帰宅。この日の歩数計は5,400歩でした。

 なお、つれあいは、帰形しても熱が引かず、翌日病院に行くはめになりました。しかしその後は徐々に快復し、旅行にドンピシャで重なってしまったアレはいったい何だったのだろうと不思議がっています。

 今回は同行者の体調不良によって、計画していたプランを100%遂行するまでには至りませんでしたが、それでも一部を一人で行動したこともあって、概ね満足のいく見て歩きとなりました。
 見逃したところとしては、札幌駅周辺の各種都市施設、北海道銘菓「白い恋人」の工場見学ができる「白い恋人パーク」、山頂から大パノラマが望める「藻岩山」、北広島に新しくできた「エスコンフィールドHOKKAIDO」など、数か所にとどまりました。
 その一方で、今回は「食べられなかった」ものがわりと多くありました。「サッポロビール園」のある「サッポロビール博物館」がその代表で、ほかにはスープカレーや北大生御用達の定食屋など。寿司や味噌ラーメンももう1回ぐらいは食べたかった気がします。でもその反面、海鮮丼は3回も食べているからなぁ。
 まあ、それらについてどうしても未練が残るというのであれば、改めてもう一度行けばいいわけで。つれの発熱は、もう一度札幌へ行けという神の思し召しだったのかもしれません。(笑)

(了)

 2023年6月30日(金)。札幌を去る日です。
 前夜早く寝ているので、4時台に覚醒して、5時半起床。

 最後となる4回目のホテル朝食は、和食。3回目となる「うなぎ仲じま」でこんどは和定食を食べます。前日の朝よりも順番待ちの列が長くなっていて、着席して配膳されるまでに30分近くかかりました。今日は山形へと帰るだけで観光の予定がないので、待たされるのも気にはなりません。
 焼鮭がメインで、とうもろこしの湯葉包み、たらこ、鶏くらげ和え、雲丹椎茸、イカ塩辛、カボチャのサラダ、キュウリと昆布の和え物、いくら醤油漬け、薩摩芋甘露煮、黒千石納豆、温玉、焼き海苔、お新香。
 ごはんのお供になる塩辛いおかずが何品も付く充実度に加えて、ごはん、味噌汁おかわり自由で、とてもおいしく食べました。ふだんの朝食の軽く3倍以上は食べています。もう少し、葉物やしっかりとしたサラダがあればいいかなと感じました。

1100_202307260746194d6.jpg
(「うなぎ仲じま」の和定食)

 その後しばらくホテルの部屋で休憩し、荷づくりをして、10時前にチェックアウト。
 中島公園バス停10時15分始発の直行バスに乗り、新千歳空港11時35分着。フライトまで3時間あり、このたっぷりの時間を新千歳空港内で楽しむつもりです。

1110_20230726074621309.jpg
(中島公園バス停と札幌駅前通り)

 なお、なぜ「“新”千歳空港」と言うのか知らなかったのであとで調べてみると、自衛隊千歳基地と民間とが共用する「千歳飛行場」と、千歳飛行場の東方に位置する民間の拠点空港として1988年に開港した「新千歳空港」があり、それらの総称として一般に「千歳空港」と呼ばれていたものだそうです。わかったような、わからないような。

 バスは予定どおりの時刻に空港へと到着したものの、FDAの手荷物預かりは出発1時間半前からの受付となり、13時5分まではキャリーバッグを引いていなければならなかったのは誤算でした。預け可能時間まで1時間余りもあるため、まずは食事を済ませてしまうことにします。未食になっているラーメンを食べないと。
 ゴロゴロとバッグを引きずって、狭い通路で大混雑する「北海道ラーメン道場」に突入。ははあ、この混雑具合もここの演出の一つなのだな。

1140_2023072607462586d.jpg
(大混雑の「北海道ラーメン道場」入口)

 「えびそば一幻」や「札幌味噌拉麺専門店けやき」あたりが列の長さではトップクラスです。狙いは「麺屋開高」ですが、「麺処白樺山荘」にもそそられてしばし悩みます。しかしやはり、ビジュアルの面白さを重視して、空港店限定だという「麺屋開高」のカニだし味噌らー麺にしてみました。
 つれあいはここの旗艦メニューの十勝ホエー豚麺。いずれも1,300円とはバカ高で、この場面でしか食べる気になれない価格です。多くの人は、十勝ホエー豚麺と帯頃名物のミニ豚丼のセットを注文しているようです。
 カニだし味噌らー麺ビジュアルは、事前情報どおりおおーっ!といったつくり。味にはそれほど期待していませんでしたが、プリプリッとした麺がおいしく、スープもさすが北海道と思わせる、まろやかで奥深い味噌味が上出来でした。カニの出汁を感じますが、思っていたほど濃厚ではありません。

1120_20230726074622522.jpg
(カニだし味噌らー麺)

1130_202307260746246c6.jpg
(「十勝ホエー豚麺」はこういうものでした)

 熱い食べ物を食べて汗が出たので、椅子のあるスペースで一休みし、残りの時間は空港探索とお土産の調達に充てます。
 3階のグルメワールドには「北海道ラーメン道場」のほかに「市電通り食堂街」があり、「北海釜めし海鮮銀しゃり ふく亭」の帆立釜めしが魅力的でおいしそう。「味噌キッチン」や「味処きくよ食堂」の店前の市電のレプリカが置かれたテーブル席は、多くの客が歓談していてにぎやかです。
 その先の通路にある「郷土料理ユック」では、献立のディスプレイがとても鮮やかで拍手ものです。

1164.jpg
(いつかは食べたい「北海釜めし海鮮銀しゃり ふく亭」の帆立釜めし)

1150_20230726074627ddc.jpg
(市電通り食堂街)

1160_2023072607462830d.jpg
(「郷土料理ユック」の献立のディスプレイ)


 「さっぽろ羊ヶ丘展望台」にはほかに、レストハウス方面に「クラークチャペル」と「雪まつり資料館」があります。
 「クラークチャペル」は、1984年に建てられた、挙式のできるチャペル。「札幌北一条教会」が解体されたのを惜しみ、同教会をこの地に2分の1サイズで復元したものであるとのこと。チャペル内にもクラーク像があり、指さす側の正面から像を見ると、喪黒福造さんのように見えなくもありません。(笑)
 「雪まつり資料館」は、1950年にわずか6基の雪像からスタートした札幌雪まつりの半世紀以上に及ぶ歴史を、パネルや写真、雪像模型などを通して紹介している資料館です。

1050_2023072607460994e.jpg
(「クラークチャペル」(左)と「雪まつり資料館」)

1060_202307260746113bc.jpg
(「クラークチャペル」内にもクラークさんがいた)

1070_202307260746124a0.jpg
(「雪まつり資料館」の歴史展示エリア)

 けっこう見たような気にはなれたものの、バス時間の都合上、滞留時間20分ほどで、11時35分発のバスで離れます。西の空に黒い雨雲がかかり、雨がやって来そうな雰囲気です。

 さて、次は福住駅の手前のバス停で下りて、回転寿司店で昼食です。このたびの札幌滞在ではすでに海鮮丼を3度食べていますが、寿司はまだです。ということで、豪華なわりに案外安価に楽しめそうな「鮨処なごやか亭福住店」を目指し、雨が降り出しそうな気配の福住の住宅街をしばらく歩いてたどり着きます。

1080_20230726074613f6a.jpg
(鮨処なごやか亭福住店)

 「なごやか亭」は、札幌エリアに知る限り9店の店舗展開をしている回転寿司チェーン店です。
 さあ食べるぞと、さっそく今日のオススメだという熟成平目の昆布〆から始めて、活〆ハマチ、炙りトロさば、海鮮宝石軍艦などをぱくぱく。全国展開の回転ずしチェーン店と違って1貫1貫にしっかりとした大きさがあり、ネタの大きさ、新鮮さは称賛もの。とりわけ軍艦巻のトッピングは具がこぼれそうなほどの頭がちになっていて、すぐにバランスを崩して倒れそうな代物でした。
 二人で軽めに食べて9皿、3千円かからない程度のナイスパフォーマンス。家の近くにこういう回転寿司店があったら通っちゃう。

1090_20230726074615f48.jpg
(「鮨処なごやか亭福住店」の寿司たち)

 満足して店を出ようとすると、外は大雨になっています。あっちゃあ。この中を歩くのはしんどく、しばらく寿司店の待合で待機させてもらいます。しかし待っていてもなかなか止まないため、小ぶりになったところを衝いて福住駅方面に向かうことに。
 歩き始めたときには何とか傘なしで歩ける程度でしたが、また徐々に強くなり、福住バスターミナルまでようようたどり着いた頃にはしっとりと濡れてしまいました。苦行の雨の大我慢大会はここまでで終了。熱のあるつれはなんとか小さな折りたたみ傘でしのぐことができたようですが、またもや無理をさせてしまったようで心配です。

 晴れていればコンサドーレ札幌の本拠地「札幌ドーム」まで歩いて行ってみるつもりでしたが、こうなると省略せざるを得ません。世界初の「ホヴァリングサッカーステージ」と呼ばれるシステムで、サッカーと野球の開催を可能にしているというので興味があったのですが、残念です。

1093.jpg
(雨のため行くのを断念した「札幌ドーム」)

 13時過ぎには福住を離れて地下鉄で戻り、学園前で下りて歩くことももちろん省略し、東豊線と南北線を乗り継いて中島公園駅まで戻ります。戻れば雨はしっかり止んでいるのでした。
 14時前にベッドメイクが済んでいた部屋に戻り、濡れそぼった下着を脱いで手洗いの洗濯をし、大休憩に入ります。

 17時に、予約をしていた本日の夕食処「アサヒビール北海道工場」の「アサヒビール園白石はまなす館」に向かうべく、16時にリスタートの予定でしたが、つれあいの事前検温の結果、38.5℃と高熱が続いているため、この予定は残念ながらキャンセルすることにしました。またいずれ、行ける機会があることでしょう。

1096.jpg
(「アサヒビール園白石はまなす館」でジンギスカンの予定だったが……)

 中止を決めたので、近間にある「セイコーマート南8条店」で食料を調達して部屋飲みに変更。一時的な晴れ間のあるうちに出かけて買ってくることにします。
 こうなれば、すぐにでも大浴場に入って、出来るだけ早く飲み始めたくなり、17時半過ぎに風呂を終えて、飲み方を開始します。
 ロングのビールとチューハイストロング。大根の松前漬風と「1/2分の野菜が入ったお好み焼き」などが、本来ならばジンギスカンだった夕食に代わった形です。締めに小さな焼きそばパン。

 部屋の窓から見える外は、またぶり返した大雨。札幌市にも一時は大雨警報が出たようです。こんなときに地下鉄を乗り継いで駅から傘をさして歩いてまでしてジンギスカンを食べたいとは思いません。だからつれあいには、熱が出なければまたもや難行苦行となったのだから、発熱が我々にとっていい方向に作用したねと冗談を言うのでした。
 早めに上がれて、安い値段で寛げているわけだから、まあそれでよしとしようではないか。札幌まで来てほとんど観光することができなかったとがっかりしているつれあいには、それはいずれまた改めて来るようにとの神様の思し召しと捉えたらよいと話します。
 熱は、夜には39℃台まで上がりました。

 20時半にはテレビを消して、21時過ぎにはぐっすり眠っていたと思います。
 この日の歩数計は8,800歩でした。

 滞在4日目の、2023年6月29日(木)。
 たっぷり眠って6時起床。心配した足の筋肉痛・関節痛はそれほどひどいものではなく、歩いても苦痛ではありません。
 昨日一日ホテルの部屋で休養したつれあいはまだ熱が引きませんが、この日はせっかくなので出かけると言います。大丈夫でしょうか?

 初日の晩以来となる和食処の「うなぎ仲じま」で朝食です。開店時刻の7時過ぎに行きましたが、早くも満席のため、少し待つことになりました。
 和定食のほかに数量限定の海鮮丼があり、朝食メニューはこの2択。一昨日食べたのがおいしかったので、ふたたび海鮮丼をチョイスします。朝から海鮮丼とは豪華です。いくら、サーモン、甘海老、帆立貝、たこ、つぶ山葵、たらこ。一昨日の夜のものほどではありませんが、他のホテルのビュッフェで出てくる食べ放題よりもこちらのほうがネタがよく、ホタテ入りの味噌汁もおいしい。

0920_202307260745406e8.jpg
(朝食は、「うなぎ仲じま」の海鮮丼)

 ここで食べている人の大部分は日本人で、アジアンはこういうところではなくたいていバイキングに好んで行くということを知ります。そういえば、大浴場にもアジアンの出没は少ないです。
 2日目に利用した「Farm to Table TERRA」もよかったですが、最後となる明日の朝食もここにしようかな。

 この日をどう使うかについて検討し、交通機関を利用している時間が多いためあまり歩かなくてもいい行程となる「さっぽろ羊ヶ丘展望台」に行くことにします。
 地下鉄南北線から大通駅で東豊線に乗り継ぐか、ホテルから豊平川を東に渡って歩き学園前駅から乗るかのどちらかになりますが、つれあいを歩かせるのは酷なので、距離的には遠回りになるけれども前者のルートで向かうことにします。
 地下鉄の終点の福住駅に着き、そこからはバスで羊ヶ丘を目指します。
 羊ヶ丘から福住駅近くに戻ったら、よさげな回転寿司店で食事をして、札幌ドームを見に行こうか。でもって、夕食は「アサヒビール北海道工場」でジンギスカンです。

 ホテルを9時40分に発ち、福住駅のビル内のイトーヨーカドーで時間調整をして、隣接する「福住バスターミナル」から30分に1本発着する路線の10時50分発の便で、羊ヶ丘へ。このターミナルは札幌市によって1994年に供用開始されたもので、なかなか立派。平日1日あたり900便近くが発着しているのだそうです。
 ここから10分ほどで「さっぽろ羊ヶ丘展望台」に着きます。

0930_20230726074541100.jpg
(近代的できれいな「福住バスターミナル」)

0980_20230726074543552.jpg
(「さっぽろ羊ヶ丘展望台」の入口付近)

 羊ヶ丘は、札幌市の南東部に広がる丘陵地。ここで見るべきものは開拓の父「クラーク博士像」とその向こうに広がる北海道らしい牧歌的な風景ぐらいですが、せっかく札幌に来たなら博士の立つ風景はどうしても見たかったというのが本音です。しかし、これだけなのに(失礼)入場料は600円。まあ、一度見れば十分で、再度行くということはないかもしれません。

0990_20230726074544296.jpg
(一人ずつ同じポーズをとって記念撮影)

1000_20230726074602a02.jpg
(これが見たかったわけです)

 正式名称は「丘の上のクラーク」。その像の前では、博士と同じポーズをとって記念撮影する人が列をなしています。多くの他人の前でそんなポーズをとるなんて、自分には恥ずかしすぎて絶対にできない芸当です。中には、次の順番を待つ人、余計者が入らない写真を撮りたい人を待たせて長々と3~4ポーズを写真に撮らせているバカ女(!)もいます。たいした度胸の持ち主です。したがって、人の入らないクラーク像を撮るのが大変です。

 クラーク像の手前には、「石原裕次郎「恋の町札幌」歌碑」がありますが、こちらのほうはクラークさんのような人気はなく、撮影いつでもドウゾといった状況です。
 「恋の町札幌」は、1972年の石原裕次郎のヒット曲。1991年に建立されたもので、歌碑には譜面と歌詞が記され、その上部には、裕ちゃんと作曲家の浜口庫之助との胸像が載っています。

1010_20230726074603095.jpg
(石原裕次郎「恋の町札幌」歌碑)

 像の向こう側には牧草地が広がり、「札幌ドーム」が銀色の円盤状になって見えています。その奥には札幌市街が遠望でき、なかなかいい眺めです。

1020_202307260746050ef.jpg
(クラーク像の向こうには牧草地と「札幌ドーム」、その奥は札幌市街)

 観光バスの一群が像の前から去って一段落したところで、改めて「丘の上のクラーク」をじっくりと眺めます。
 クラーク博士について改めてまとめておくと、当時はマサチューセッツ農科大学の学長だった博士は1876年、1年間の休暇を取り、北海道大学の前身の札幌農学校に初代教頭として赴任し、わずか8か月の滞在期間中に多くの学生たちに慕われ、開拓時代のシンボル的な存在になります。
 北海道を去るにあたり、見送りの学生たちに告げた「Boys Be Ambitious」が、「少年よ大志を抱け」と訳され、北海道の開拓精神の象徴として現代まで語り継がれています。
 また、この立像は、博士の来道100周年を記念して、北海道ゆかりの彫刻家・坂坦道氏が1976年に制作。今年(2023年)、設置後初となる修復と再塗装が行われ、4月に除幕式が行われたばかりだったようです。
 なお、右手で遠くを示す独特のポーズは、「遥か彼方にある永遠の真理に向かって、大志を抱け」との作者のメッセージが込められているそうです。博士の指先は、場所や物体ではなく「遙か彼方の真理」という抽象的なものを指していたのですね。
 像の右手奥には「羊さんのお家」があり、その近くの芝地で羊が何頭か寛いでいました。

1030_202307260746063be.jpg
(Boys Be Ambitious)

1040_20230726074608fb8.jpg
(羊ヶ丘の羊)


 「赤れんがテラス」からは地下へと潜って、「札幌駅地下歩行空間チ・カ・ホ」を歩きます。
 札幌市営地下鉄南北線さっぽろ駅と大通駅の間をつなぐ地下空間で、すすきの駅までつながる1,900mがほぼ直線でつながっています。これは日本国内で最も直線距離が長い地下通路なのだそうです。一般的な地下道よりも天井が高い感じがして、天井の各所に天窓が設けられているためそこそこ明るさも確保されています。
 大通駅までは、幅の広い歩道のスペースにちょっとしたギャラリーや出店が設けられていたり、地下広場がイベントの場として活用されたりしています。しかし区割りされたテナントはなく、BGMも流れていず、ただ人が歩いている空間になっていて、東京の雑踏とも違ってこれはチ・カ・ホ独特なもののように思えます。
 その先、大通駅の南側からは「ポールタウン」という商店街になっていて、歩道の両側に店のある、都会でよく見かける普通の地下街になりました。

0870_20230726074532d2c.jpg
(札幌駅地下歩行空間チ・カ・ホ)

0880_202307260745340ff.jpg
(店が並ぶ「ポールタウン」)

 地下道はすすきの駅で終わりとなり、そこからは地上を、中島公園駅近くにあるホテルまで歩いて行きます。
 地上に出たところで交差点の向こうに「さっぽろ名所 新ラーメン横丁」のネオンサインが見えたので、立ち寄ってみます。
 「もぐら横丁」とも呼ばれるところで、以前ここで味噌ラーメンを食べたことがあるように記憶しています。14時台の時間帯だったためか、中を歩いている人影はなく、一人だけの当方に、ある店からどうぞと声がかかりましたが、残念ながら今は食べられません。
 なお、「元祖さっぽろラーメン横丁」というのもあり、こちらはここからもう1本南側の建物の中にあるようです。こっちの「元祖」ほうが元気がよい通りだったのかもしれません。

0890_202307260745353a1.jpg
(「さっぽろ名所 新ラーメン横丁」のネオン発見)

 すすきの界隈の南を歩いていて「成田山札幌別院」を通ったので、撮っておきます。
 新栄寺と称し、千葉県成田市の真言宗智山派の大本山・成田山新勝寺の別院として全国に8つあるもののひとつ。1885年の開創で、1964年に放火により焼失するもののいったん再建し、現在の本堂は開創120周年記念事業により2005年に新た建立したものとのことです。
 日本の都市風景を見て歩くと、立派な寺社仏閣は各地にあるのでどうしても目がいくものです。

0900_20230726074537cad.jpg
(成田山札幌別院新栄寺)

 15時30分にホテル戻り。
 部屋で休んでいたつれあいに今夜は何を食べようかと相談すると、どこかへ行くのもいいけれど、それほど食欲がなく、軽いものでいいとのこと。では部屋で食べることにして、「サンドリア」でサンドイッチを買ってくるのはどうかと尋ねると、それがいいと言うので、当方だけ再度出かけて買ってくることにします。
 店に着き、今日イチオシとして売られていたメロンのフルーツサンドと、タンドリーチキン、バジルトマト、メンチカツの4種を買って、1,240円。安いと思いますがどうでしょう。ずしりと重い品物を手にした段階で、5つ買わなくてよかったなぁと安堵している自分が可笑しい。
 一昨日に訪れたときと同じ道のりを歩きますが、1回目よりも時間はかからず往復30分ほどで済み、16時にホテル再戻り。汗を流しにただちに大浴場へと出かけ、泡風呂にたっぷり浸かって17時には本日のミッション完了となりました。

0910_20230726074538261.jpg
(「サンドリア」で調達したサンドイッチ4種)

 18時頃から、そのサンドイッチなどをつまみながら飲酒方面へ。ニュースを見つつ、缶チューハイのレギュラーとロングを1本ずつ飲んでゴキゲンです。
 ニュースによれば、山形県内では米沢や東根などが大雨になっているようです。仕事をもっていた数年前までならこんなときに旅行を続けてはいられず、知り得た以上はただちに帰宅しなければならなかったものでした。しかしリタイアした今では、そういうことはやらなくて済み、まったくもっていい身分になったものです。

 飲み終えた19時台にはさすがにまだ眠くはならず、しばらくパソコン作業と読書をしてから、ゆっくりと眠る準備に取りかかります。
 この日の歩数計は1万9千歩。明日はきっと足が痛くなることでしょう。

 大通公園をゆっくり歩き、園地で様々な人が思い思いに寛いでいるところを西11丁目から西6丁目まで進み、正午を大きく過ぎていることに気がつきます。朝にしっかり食べているのであまり腹が空いていませんが、どこかで軽く食べることにします。
 スマホで近場を探し、冷たいうどんを啜ろうかと「うどんのそうまや」を目指すことにしました。13時過ぎ、少し順番待ちをして着席です。
 三陸産生わかめうどん(冷)660円。つゆが少なく、生ぬるいつくりですが、たくさん歩いてきた身にはおいしく感じられます。冷水もたくさん飲ませてもらって、喉の渇きを一気に解決できたのがうれしい。

0790_202307260745209de.jpg
(うどんのそうまや)

0800_202307260745226a9.jpg
(三陸産生わかめうどん(冷))

 うどんを食べた後、「大通公園」を西4丁目の噴水まで歩き、これで公園を西の端から東の端まですべて歩いたことになりました。
 ここからは針路を北にとり、「北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)」を見に行きます。

 見えてきた赤れんがの庁舎を眺めて、おおこれかと思いましたが、……ん?!
 それらしく見えないこともありませんが、これは「絵」で、大きな幕のようなものに描いたフェイクです。屋根の銅板を葺き替える改修工事が行われていて、建物全体を覆う素屋根の外側の覆いに庁舎の写真を印刷したものなのでした。工事は今年5月から来年5月上旬までとのことで、その右手には庁舎の歴史や工事内容などを紹介する仮設見学施設が設置されていました。
 「赤れんが」の愛称で広く道民に親しまれている、1888年にアメリカ風ネオ・バロック様式で建てられた建物。内部には文書館や樺太関係資料館などがあり、ふだんは一般公開されているというのですが、そういう事情で今回は入れません。でもまあ、こういうときに見られるのも貴重といえばそう言えるのかもしれません。

0810_202307260745231e1.jpg
(工事中だった「北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)」のフェイク)

0820_2023072607452523d.jpg
(正面右手に設けられた仮設見学施設の入口)

 せっかくなので仮設見学施設に入ってみます。改修中の赤れんが屋根の現況や、いったん取り外して設置されている八角塔屋根などが見られるほか、赤れんが庁舎の歴史と改修工事概要に関するパネルなどが展示されています。
 また、高みからは前庭を見下ろすこともできます。

0840_20230726074528b56.jpg
(足場が組まれて改修中の赤れんが屋根)

0830_2023072607452623e.jpg
(仮設見学施設の高みからは、前庭を眺め降ろすことができる)

 仮設見学施設を出て、ついでにその西側後方にまわって、現在の「北海道庁」も眺めておきます。
 1968年竣工の古い庁舎で、その名を聞けば思い出されるのが、北海道庁爆破事件です。(古いか)
 1976年3月のある日の朝、この庁舎の1階ロビーで爆発が起こり、職員2名が死亡、80名余りが重軽傷を負った事件です。その後、東アジア反日武装戦線を名乗る男の声明文が発見され、犯人は逮捕、無罪を主張するまま情況証拠に基づいて死刑となり、現在も札幌拘置支所に収監中とのことです。

0850_20230726074529b8c.jpg
(北海道庁本庁舎)

 赤れんが庁舎のすぐそば、札幌駅前通りに面したところにある「赤れんがテラス」にも立寄ってみます。
 三井不動産と日本郵便が共同で建設した2014年竣工の超高層ビルの地下1階から地上4階部分を指し、「新しい感性と出会う、札幌の中庭」をコンセプトに、に多数の店舗が出店している商業施設となっています。
 1階のオープンカフェとオープンバル、赤れんが庁舎が一望できる5階の「展望テラス」、天井が高い2階のフリースペースなどが要チェック個所のようでした。

0860_202307260745317c5.jpg
(札幌市北3条広場「アカプラ」沿いのオープンカフェ)


 バスを終点の円山公園駅停留所の一つ手前の「円山動物園前」で下りて、「円山公園」内を歩き、「北海道神宮」を目指します。「札幌市円山動物園」は第4水曜に当たるこの日は休園です。
 前述のとおり道路を挟んだ向かいの「札幌円山球場」では夏の高校野球の地区予選をやっています。石狩南高校対札幌清田高校。選手の一挙手一投足への高校生の黄色い声の声援や、懐かしい吹奏楽部の応援マーチが聞こえてきます。
 球場のお隣りは「円山庭球場」。整備がゆきとどいていて、多くの愛好者が汗を流しています。

0725.jpg
(球場隣りには「円山庭球場」も)

 思ったよりも遠回りとなってようようたどり着き、駐車場側からエントリーすることになった「北海道神宮」。
 創建1869年の、北海道の総鎮守。約18万㎡の境内地は桜の名所で、新年の初詣をはじめとして多くの参拝客が訪れるほか、毎年6月14日~16日には北海道神宮例祭(札幌まつり)が開かれ、お囃子にのって神輿や山車が市内を練り歩く姿が見られるそうです。
 大国魂神(おおくにたまのかみ)や大国主命(おおくにぬしのみこと)らとともになんと、明治天皇まで祀っている神社。つれあいの体調不良が早くよくなりますようにと手を合わせてお頼み申しあげました。
 本来であればこちらのほうから入ってくるべきだった、立派な参道。参道入口の大鳥居が北東を向いているのは、北海道の開拓当時、樺太・千島への進出を図っていたロシア帝国に対する守りという意味があったそうです。

0730_202307260743489f1.jpg
(「北海道神宮」神門)

0740_2023072607435076a.jpg
(同 拝殿)

 大鳥居を出て東のほうへと行くと、「円山公園」の入口がありました。天然の原始林に恵まれた札幌の代表的公園。ここも桜の名所として知られ、隣接の「北海道神宮」とともに格好の散策コースになっているのですが、ここまでだいぶ歩いているので園内の散策は省略。もったいなかったかな。

0750_20230726074351055.jpg
(「円山公園」の入口)

 円山公園駅まで戻り、地下鉄で2駅先の西11丁目駅へ。ここは「大通公園」の西の端に当たるところ。ここから徐々に東へと歩を進め、前日に歩いた東部分と合わせて、大通公園を徒歩制覇しようという企みです。

 まずは、公園の最西端に位置する「札幌市資料館」から。
 おお、前庭がとてもきれいではないか。前日歩いた「創成川公園」もそうでしたが、札幌市は公園行政にふんだんな予算を当てているように思えます。財政力のある札幌市だからこそできるのであって、北海道全般を管轄する道庁の仕事であれば、こうはいかないのだろうな。

0760_20230726074516602.jpg
(「札幌市資料館」前の庭園)

 「札幌市資料館」は、もともとは1926年に札幌控訴院として建てられた建物で、裁判所の移転に伴って1973年に市の資料館として生まれ変わったのだそうです。札幌軟石を使った建物としては全国的にも貴重で、国登録有形文化財であるとのこと。
 入館無料の館内は、刑法法廷展示室などがあるほかは貸しギャラリーがメインで、山形県でいえば「文翔館」とよく似た使われ方がされているようです。

0770_202307260745170de.jpg
(「札幌市資料館」のファサード)

0780_20230726074519a75.jpg
(刑法法廷展示室)