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2021.12.07 20211206 月
 よく晴れた朝だが、気温はかなり下がっている。この日もぬくいところから離れられず、7時過ぎまで寝床に滞留している。
 朝のうちは、週明けの株式市況への対応と、県内に新しい食事処ができていないかネットで調べたりしているうちに、時間が経っていく。

 昼食は、店の存在は知っていたけれども、プライオリティの関係でいまだに足を運んだことがなかった上山市栄町の「花や亭」に、初めて行ってみた。
 みそチャーシュー750円。チャーシューの入らないみそラーメンの100円増しで、チャーシューが4枚加わる。麺の茹では強めで、注文を受けて炒める野菜類にはシイタケも入っているので、味わいはマイルドになり、そのためか味わいは家庭的な方向に振れている。熟成感の強いチャーシューにワカメ、辛味噌付き。スープはそれほど魚介っぽくない。
 これに、茸とちくわを加えた青菜の油炒めに量が多めの漬物が付いて、この価格は立派。やはり実食してみなければわからないことは多いものだ。
 天童市の人気店「そば処一庵」で火事があったと昼のニュース。

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(「花や亭」のみそチャーシュー)

 午後になってから「民族の世界史4」を読み始めるのだが、山口瑞鳳教授サマの書く文章はあまりにも下手くそで、慎重に読んでも全く頭に入らない。そのため第1章はほとんどスルーし、第2章も同一人物によるものなのでここも読めずにこの巻を読了する。
 書き手は自由気ままに好きなだけ書いて、読み手はそれを到底理解できずに終わるという“金返せ状況”が生まれるし、何よりもせっかく学ぼうとしたチベット民族のことが収穫なく終わってしまうことが惜しまれるのだった。
 権威ではなく、別の著者を登用して編集してほしかったし、そうするべきだったのではないか。結局巻末までの50ページ余りはメランコリックな状態を誘発させただけで、ほぼ読み込めずに終わった。まあいいや、気にせず次の巻に進もう。

 その間に、SUBARUから電話。新人セールスは「12か月点検の料金が高いというお話でしたので……」とか言って、「それでは点検にとどめて、10万km整備のベルト類交換は今回行わないことにしてはいかがでしょうか?」と提案してきた。
 このセールスマンは何を言っているのか。ものの料金が高いなどと言った覚えはないし、こちらとしては、タイミングベルト交換などの10万km整備だけやってほしい、点検はやってもらってかまわないが、こちらが望んでいないところまでオーナーに説明せず部品交換をしようとするな――と伝えている。それなのに、彼らの捉え方は発言で明らかなとおり、12か月点検が主で、顧客の希望するところとは真逆のことしか考えていない。顧客本位のサービスとは何か。こちらをただのクレイマーか何かとしか考えていないのではないか。

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(image)

 母の施設からも電話。常用の眼薬がなくなったので病院に行ってもらって来てほしいとのこと。これについては手元に何本か残っていたので、忘れないうちにとすぐさま再度出かけて届けてきた。

 その帰りに、毎年タイヤ交換をしてもらっているオートショップに寄る。
 ここまでには経過がある。数日前の1回目、予約でいっぱいだからこの日はもう受け付けないと2代目に迷惑そうに言われ、その後の2回目、電話で予約しようとしたら、店の婆さんにいつになるかわからないと曖昧に言われ、そして3回目の今日、店の前を通ったら駐車場の車がゼロだったので立ち寄ったら、婆さん今度は、今年からは自店でタイヤを買った人以外は受け付けないことにしたとのたまうではないか。こちらはポカンとするしかない。
 何があったのか知らないが、たぶん商売の何たるかを理解していない2代目がタイヤ交換の辛さに音をあげ、高齢になって何もしない初代に業を煮やしてクーデターを起こしたのではないかと思料する。だが、お得意様そっちのけでそんなデタラメや勝手なお家騒動をやっている店はこちらから願い下げで、あいさつもそこそこに店をあとにする。「オートハウスNIKOH」とはそういう店であることがわかったので、今後もう二度と足を運ぶことはない。
 家に戻って、すぐさまウェブでオートバックスにタイヤ交換の予約を入れて、明後日の昼に交換することにした。馬鹿じゃないの、どいつもこいつも。(言い過ぎか)

 ヘンなことばかりの一日となってしまってがっかりだが、これ以上は悪くならないようにと、その後は自室で大人しくしていることにする。
 夜の録画視聴は、短めの番組をいくつか見る。「バナナマンのせっかくグルメ」の兵庫・明石市編は、そろそろ見慣れてマンネリ化してきた。「真夜中ドラマ ごほうびごはん」の第9話は、入社した会社でうまくいかず、東京砂漠のレストランで一人ハンバーグを食べて涙している主人公に感情移入してぐっと来てしまう。「飯尾和樹のずん喫茶」は初めて見るが、毎回までは見なくてもよさそう。「植野食堂 by danchu」の魯肉飯編は、取材した新橋「香味」のそれは間違いなく美味だろう。ああ、この店の魯肉飯が食べたくなった。それと、台湾にも行きたくなった。

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(新橋「香味」の魯肉飯)

 飲んだ後は眠くなるまで「街道をゆく41 北のまほろば」を50ページ読んで、23時半には沈没する。

2021.12.08 20211207 火
 またもや7時半起き。このまま暖かなところでずっと眠っていたいが、そうもいくまい。
 朝のうちは株式ウォッチ。今日は何日ぶりかで相場がいい。11月の25日あたりからずっと買い基調にしかならない、つまりは着実なマイナス相場が続いていたが、今日ばかりはぐんと上げてくれて、帳簿上では前3日分ぐらいの損失をやっと挽回することができた。出来高としては、持ち株評価額は3%強もアップし、下がったところを買い押さえていたものから5銘柄を売って、一定程度の利益を確定させる。すっかり目減りしてしまっている買付資金を戻しておかなければならない一面もあるのだ。
 これで多少は溜飲が下がる思いだが、自分がイメージしている相場よりはまだ数段低いところにいるので、ここで損切りなどはせずにもうしばらく辛抱して綱渡りをしていたい。

 この日は、上山市美咲町の「長好亭みさき」でランチ。8年1か月ぶりの再訪となる。ごはんものが食べたかったので、唐揚げ定食880円をチョイス。
 唐揚げがいい具合に揚がっていて、衣はショリサクで鶏肉は柔らか。自家製の塩ダレを使ってはっきりとした味を付けているので、ソースなどは使わないでこのままおいしくイケル。味が濃いとごはんが進むことになるが、このところ大盛りの自粛を心掛けているので、ごはんを少しずつ口に運ぶ。だがそれでも、6個ある唐揚げのうち4個半を食べたところでごはんがなくなってしまった。
 ほかに甘口仕立てのだし巻き玉子、漬物に、油揚げとわかめの味噌汁。プチコーヒーゼリーが付くあたりにも気配りが感じられていいと思う。ほどよく腹が満たされて、満足する。

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(「長好亭みさき」の唐揚げ定食)

 外出時にはもう2つの用事を済ませる。近くのブックオフに行って、取り寄せていた古書8冊を受け取る。8冊全部が司馬遼の「街道をゆく」シリーズで、1,760円。アマゾンで買うと一つひとつに送料がかかるので、ここまで安くは入手できない。
 毎晩飲んでいる缶チューハイがなくなりそうだったので、酒量販店に行って、500mlのストロング缶チューハイを買い物かごに入るだけの量となる24本をゲット。このようにして行う1回の買付額はだいたい3,600円見当のようだ。

 夜になってからは、11月27日にNHKで放送された「燃える闘魂 ラストスタンド~アントニオ猪木 病床からのメッセージ」を録画で見た。これはすごい番組だった。猪木は今78歳となって、未知の難病と闘っているのだった。リアルなリハビリ風景はもちろん、緊急搬送された様子や、入院先で「死」を意識したときの言葉や詩の記録、亡き夫人(猪木田鶴子さん)との夫婦愛など、メディアが報じられなかった“いまの猪木"を猪木本人が全てさらけ出している。がんばれ、病気になんか負けるな、猪木。
 出演者には本人のほか、古舘伊知郎、村松友視、藤波辰爾、藤原喜明、馳浩、棚橋弘至など、周辺の関係者がずらりで、同じものはもう二度とつくれないのではないかと思わせる。力道山と戦っているシャープ兄弟の鮮明な映像などもあって貴重。これは保存版として取っておくべきだろう。

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(2か月の緊急入院から退院の日を迎えた猪木)

 読書に関しては、午後に「街道をゆく41 北のまほろば」を40ページ余り読んで読了。
 続いて、「すべての武器を楽器に」(喜納昌吉著、冒険社、1997)を読む。“すべての武器を楽器に”というメッセージは、今、目にするとどうも陳腐なところもないではないが、20世紀末のあの当時にはなかなかメッセージ性のあるスローガンだった。ミュージシャン・喜納は平和活動にも携わり、このほかに「すべての人の心に花を」、「すべての基地を花園に」、「戦争より祭りを」などの訴え、2004年には民主党から参議院比例区に出馬して当選している。
 当書では、不幸な出来事ばかりが多い現状を「慈愛という名の神は姿をひそめ、悪魔が人類を手玉に取っているかのようだ」と述べ、人間は精彩を欠いた神よりも生き生きとした悪魔を好み、貧弱な創造よりたくましい破壊のほうが好きなのだと解釈して始まる。
 アトランタ五輪の文化イベントに5大陸の代表としてチャンプルーズが招待されたものの、いろいろとアクシデントがあってがっかりしている様子などを読む。この日はこれを50ページ。専門書と異なりページがたちまち減っていく。

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(今日読んでいる3冊)

 寝る段になってからは、文庫本の「よい匂いのする一夜」(池波正太郎著、講談社文庫、1986)を手に取って読み始め、20ページ読んだところで睡魔がやってくる。
 23時半過ぎ、就寝。

2021.12.09 20211208 水
 7時15分に起床するが、この朝も雨で、外は暗い。いつもの冬ならばこれが雪になっていて何十cmかの積雪になるのだろうが、令和の冬はそうはならない。自分が学生だった昭和の頃、50年前頃の山形はこんなではなく、もっと寒くて雪深くて暗い12月だった印象があるのだが。真珠湾攻撃によって太平洋戦争が始まってから満80年の日だ。

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(真珠湾攻撃で炎上する米軍施設 1941.12.7)

 朝作業をひとしきり終えたあとの読書は、「すべての武器を楽器に」から。第2章の位置づけの「「花」は国境を越えて」では、なぜデビュー作となった自身のアルバムが強い発信力を持ちえたかや、フォーク・ソングが衰退しつつある中で、そういった「理」のある音楽の流れには乗らず、「音霊(おとだま)」を意識した独自の音楽を創造していった過程などが読み取れる。この日はこれを60ページ読む。

kina shokichi 2018
(喜納昌吉 2018頃)

 母の施設に洗濯物を届けに行き、玄関口でひとしきり愚痴を聞かされて、乗り気のしない用向きを終了。
 その後は「ビッグボーイ城南町店」へ昼メシをとりに。ランチメニューの最安シリーズ、お得なコンビセット5種638円の中から、手ごねハンバーグ&カニコロをセレクトし、ランチのスープ&カレーセット110円を追加して、748円。
 メインディッシュのほかに、小さな皿でカレーライス1皿、ガーリックライス1皿、スープ用のカップにカレールー1杯、コーンスープを3杯、チキンオニオンスープを1杯もらってこの価格で済むのなら、スバラシイの一言であり何の不満もない。4店舗の中ではここのカレーがいちばんうまかったと思う。

bigboy jonan 202112
(「ビッグボーイ山形城南町店」の手ごねハンバーグ&カニコロ)

 続いて、タイヤ交換の予約していた「オートバックス山形深町店」へ。12時に入店し、終わったのは13時15分。タイヤ交換だけをするのにどうしてこんなに時間がかかるの?という疑問は残るし、料金が4,400円とバカ高い。そんなに高いのなら自分でやっちゃおうかとも思うが、そう思うだけでけっして体はそう動かない。でも、これまでやってもらっていたタイヤショップよりも作業が丁寧だし、商売として対価相応にサービスしてくれているので、あっさり許せてしまうのだった。

 入浴後の飲酒タイムは、つれあいの焼いたお好み焼きをつつきながら飲む。おいしくできてはいるのだが、量は食べられない。かつてはこれよりも一回り大きいサイズのものを2枚食べてもまったく平気だったものだが、今ではこれでも持て余すほどになってしまっている。特に、夜も押し迫ってから食べるともっとも胃もたれすることが経験上わかっている。

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(今夜はお好み焼きで缶チューハイ)

 そこから先は、いろいろなことをやりながらの読書。タイヤ交換の待ち時間と夜で、「よい匂いのする一夜」を120ページ読んだ。
 格別目新しいことはない一日だったが、それなりに充実し、気楽で楽しく生きている。
 24時前、就寝。

2021.12.10 20211209 木
 7時半まで寝ていることが半ば常態化してしまった冬の朝。
 朝ルーチンとカキモノから。そして株式ウォッチと読書という流れはいつもと同じだ。

 昼食は、木の実町の「大手門パルズ」1階にある「レストランパルズ」を初訪問してみた。
 スパゲッティナポリタン700円。いい色のナポリタンに、胡麻ドレッシングのサラダ、コンソメ味のスープが付いてなかなかリーズナブル。ここのナポリタンの具材は、大ぶりのむき海老数個とホールトマト、タマネギ、マッシュルーム、ピーマンでできていて、ベーコンやウィンナーなどの肉類が入らないのが特徴。炒め過ぎないタマネギのしっかりとした口当たりもマルだ。
 ここの日替りランチもいずれ食べてみたいし、レギュラーメニューは最も高いものでも天重とロースかつ定食が1,100円どまりで、財布にもやさしそう。食事だけで立ち寄っても駐車場は無料になるので安心だ。

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(「レストランパルズ」のスパゲッティナポリタン)

 本日の読書は、まず午前中は「すべての武器を楽器に」を40ページ。
 午後は、小1時間ほどの昼寝を挟みながら、「よい匂いのする一夜」を100ページほど読んで読了する。池波エッセーは、「青春忘れもの」「食卓の情景」「男のリズム」「散歩のとき何か食べたくなって」にいでこれが5冊目の読了本となる。この続きは手元に文庫であと4冊ある。
 入浴後の夜は、「すべての武器を~」に戻ってもいいのだが、たくさん買い置きをしている「街道をゆく」シリーズから「街道をゆく22 南蛮のみちⅠ」(司馬遼太郎著、朝日文庫、1988)を取り出して読み始め、これを40ページ。

 夜の録画視聴は、NHK「世界ふれあい街歩き」の銀座スペシャル。銀ブラとはまたちがう銀座“探索”をいずれ自分でやってみるのも面白いのではないかと思って。まあその多少の参考にはなった。「街道をゆく」の東京関連の巻を読んで巡る場所についての理解を補強していけば、もっと面白くなるかもしれない。
 ほかに「孤独のグルメ」の再放送や「トーキョー製麺所」の第4話など。

tokyo seimenjo 202109

 改めて書くほどのことも少ない、変わりばえのしない日ではあった。久々に、終日晴れて、気分は暗くない。
 24時頃に就寝。

2021.12.11 20211210 金
 7時15分起床。今日もそれなりに寒いが、天気は良好のようで、少しだけ朝霧が立っている。

 天気につられて西村山郡方面へとドライブに出て、昼食。河北町の某台湾料理店を目指してみるも、開店時刻を過ぎても「準備中」のまま。じゃあいいや、別の抽斗を使おう。ということで、なんと丸9年ぶりに、谷地月山堂の「熱烈厨房」を再訪してみた。
 山形・岩手産の小麦“ゆきちから”100%使用だという自家製手もみ麺を、大盛り・特盛り無料サービスにしているのがここのウリ。特盛りの麺量は160g×2玉であることを確認して、半ば怖いもの見たさに駆られて、野菜みそらーめんの特盛り、720+0円を注文し、待つことしばし。
 でっかいどんぶりにて、堂々の登場。うへぇ……というのが正直な感想かな。(笑) 「ハイらーめんデス」のどんぶりを使っているし、大盛り・特盛り無料サービスも同じだから、その系列なのだろうな。
 これ、すごくいい。まず、味噌スープが秀逸。発酵熟成感と適度なラード感のあるコクの深い味で、唸らせられる。麺はいくら食べてもまだあるぞという量感があり、ラーメンをたっぷり食べて腹を満たしたいという欲望に十分に応えてくれるものになっている。そして、直前に軽く炒めて投入された野菜の量がスバラシイ。チャーシューとメンマは入らないが、この味噌スープと麺と炒め野菜のクオリティが揃っていれば、他店をしのぐかなり上出来な一杯だと思う。
 低価格で満腹に。うまけりゃ特盛りだってまだイケル。でも、あとで胃が苦しいのだった。

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(「熱烈厨房」の野菜みそらーめん)

 午後には、映画「汚名(Notorious)」を観る。ヒッチコック監督、E・バーグマン出演の、1946年の米映画だ。
 ドイツ出身の父親がナチスのスパイだったとして世間から非難されていたアリシア(イングリッド・バーグマン)に、FBIエージェントのデヴリン(ケーリー・グラント)が近づく。
 デヴリンはアリシアに、第二次大戦後にブラジルに逃げたナチの残党を見つけるための助力を求め、共に行動することになった2人は愛し合うようになる。ところが、ブラジルに着いた2人に下された命令は、ナチの有力な支援者であるセバスチャンに、アリシアがハニートラップを仕掛けて情報を引き出すというものだった。アリシアはデヴリンが明確に反対しないことに失望しながらも、任務を引き受ける。
 セバスチャンはアリシアに求婚し、対応に困ったアリシアはデヴリンの上司に相談するが、上司らは妻となったほうがより情報を得やすくなると結婚を勧めるのだった。

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(映画「汚名」のバーグマンとケーリー・グラント)

 アリシアの情報収集が成果を上げ、セバスチャンの屋敷内のワインセラーが怪しいと睨んだアリシアとデヴリンは、新妻の披露パーティの際にデヴリンをアリシアの友人として屋敷に招待し、ワインセラーに潜入する計画を立てる。潜入に成功したデヴリンは、ワインの瓶のいくつかに砂状のものが入っていることに気付きそれを持ち帰るが、これはウラン鉱石であることが後に判明する。一方セバスチャンは、この件にまつわり、アリシアがスパイであることに気付いてしまう。
 セバスチャンはナチの仲間でもある母親に相談する。母親は、嫁がスパイであることが仲間に知られれば自分も息子も殺されることから、彼女を緩やかに毒殺することにする。こうしてアリシアは夫と義母によって毒の入ったコーヒーを毎日飲まされ、急速に体調を悪化させていく。
 ある夜、自分の正体が2人に知られていることに気づいたアリシアだったが、時すでに遅く、アリシアは倒れ、そのまま寝室に監禁されてしまう。音信不通になったことに不安を覚えたデヴリンは「友人」としてセバスチャンの屋敷を訪問し、アリシアが毒殺されかけていることを知る。息も絶え絶えになったアリシアは、知り得たウラン鉱石の入手先をデヴリンに伝え、互いを愛する気持ちを素直に認め合った2人は屋敷を脱出するのだった。

 このほか、夜に飲みながら視聴した録画は、NHKの新番組「生きて、ふたたび 保護司・深谷善輔」の第1話。主人公には舘ひろしを配して盤石。「息子殺し」の罪で服役していた79歳の老婆役は浅丘ルリ子が演じていて、かつての美女もこうなるかといった凄みを発揮している。バーグマンは高齢になっても俳優として活躍したが、1982年に67歳で乳がんのため没した。一方の浅丘は現在81歳で、女優とは自分の現在をこうまでして公衆の前にさらけ出さなければならないものなのかと、ただ驚き、敬服するばかりだ。
 「町中華で飲ろうぜ」の11月30日放送分も。船橋の2軒を巡った高田秋はいつにも増していい表情でレポートしていた。何かいいことがあったのかもしれない。

ikite futatabi 202112
(生きて、ふたたび 保護司・深谷善輔)

asaokaruriko 202112
(1960年頃?の浅丘ルリ子!)

 この日は1時間40分の映画を観て、映像にシフトした日だったので、読書は少なめとなる。
 「すべての武器を楽器に」を70ページ読んで読了。それらしき言葉が並ぶものの、何を言いたいのかという肝心の論旨がよく理解できない本だった。これが今年30冊目の沖縄関係の読了本となり、年間100冊、うち沖縄本30冊という2021年の年間読破のダブル目標を達成することができた。
 寝る前は、「街道をゆく22 南蛮のみちⅠ」を20ページ読んだ段階でギブアップ。23時半過ぎ、就寝。

2021.12.12 20211211 土
 世の中も週末だし、急いで起きる必要もなかろうと、目が醒めてはいるものの7時半まで寝床に滞留する。土曜日恒例、一週間分のテレビ録画セットから始めて、モノカキ、ブログの記事公開手続きなど。
 朝のうち、Y子叔母より、母は元気かと確認の電話あり。はい、体の具合はよくないと言っていますが、口のほうは元気です、誰よりもと言いたいぐらいに。うふふ、それならよかったと安心した様子。齢をとれば誰だって痛いところぐらいはあるものよと、当方と同じ感想を述べていた。

 その母の元へ、洗濯品とたっぷりの食料を持参する。玄関口で言われることはいつもと同じ不平不満の数々で、加えて、以前何度か話し伝えていることをすっかり忘れて、「そんなことは初めて聞いた」と断言されるので、こちらとしては返す言葉がない。むこうはこちらが聞き飽きるほど同じ話をしつこく繰り返すのに、人の話はこれっぽっちも聞こうとしないし、そういう姿勢なものだから聞き覚えも悪い。
 さらにいうと、このごろのものの言い方には妙に非難がましいところがある上に、こちらの言葉尻を捉えて本論から外れ、狭いところに議論を押し込めていこうとする一面もある。したがって、会話など成り立つはずもなく、いつも話しているのが苦痛に思えてくる。

 会えばいつもまつわりついてくるこのすっきりとしない感覚は、食べたい物を食べることで忘れてしまうのがいちばんだ。さて、今日の昼は麦切りだな。
 ということで、1年4か月ぶりに城北町の「そば処蔵舞たぬき」へと向かい、ざるきしめんの大盛り、680+150円を注文する。「きしめん」とは言っても、名古屋のそれのようなビロビロとした幅広さはなく、機械打ち、平打ちのうどんで、このあたりで言う「麦切り」だ。
 蕎麦もおいしいけれども、ときたま麦切りのつるりとした喉越しが恋しくなるもの。ここのこれもその望みにしっかりと応えてくれるものになっていて、やたらとうまい。しかも、大盛りの量はかなりあり不足感はゼロとくれば、うれしい限りではないか。
 麺量にふさわしく、そばつゆもたっぷりあり、はじめはワサビをチョイ付けして、そしてその後はうどんの白肌に真っ赤な一味をかけ回して何がなし罪悪感を覚えつつ、薬味三昧で存分に啜る。締めの蕎麦湯を猪口に2杯飲んで、大満足だった。

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(「そば処蔵舞たぬき」のざるきしめん)

 持ち帰ったものの洗濯を終えて、この日はベランダに干せる天気なのがちょっとうれしい。
 その後は読み方開始。この日は「街道をゆく22 南蛮のみちⅠ」1本で攻めてみる。
 フランシスコ・ザビエルやイグナティウス・ロヨラといった、日本に関係のあるバスク地方出身者を念頭におき、パリからフランス側のバスク地方の都市バイヨンヌに向かった一行。司馬は、バイヨンヌは歴としたバスク地域の町だが、町のどこを歩いてもバスク文化というような得意なものは見当たらず、面としてだけでなく点としてもすべてフランス文化であるように思われるとし、この点について、アイヌとその文化にあこがれて函館か小樽にやってくるようなものだろうかと感想を述べている。
 この日はこれを100ページ読む。

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(バスク地方、サン・ジャン・ピエ・ド・ポールの風景)

 暖かくした自室で、姿勢を固定せずリラックスして読んでいる。デスクで、ベッドに腰かけて、あるいは横になって。ときには立ち上がって柔軟体操をしながら。軽い文庫本であればこのように自在な姿勢で読めるのがいい。
 興味をもって読んでいるためか、部屋でじっとしてはいるけれども頭脳はある程度回転していて、様々な風景が浮かんできたり、読みながら思わぬ方向に思考が広がっていったりするので、けっして退屈さは感じない。それらはさすがに実際に五感で体験するよりはインパクトに欠ける一面はあるが、ヒマに任せてテレビを見たり誰かと茶飲み話をしたりしているよりはずっと知的好奇心が刺激されて、楽しい。
 こうなると、話し相手がいないとか言って寂しがっている余裕などなく、次は何を読もうかとワクワクする。こう言っては何だが、社会的なつながりを確保するために誰かと会って格別有為とは思えない時間を過ごすよりも、むしろこうして、日常とは異なる自分の知らない世界、気がつかなかった世界へと一人で入り込んでいくことに時間を使うほうが、愉しく、楽で、自分に合っていると思う。この感じは、一人旅をして知らない街を彷徨っている感覚にもよく似ている。

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(okinawa-image)

 本を置いて眠りに就いたのは、23時半過ぎとなる。

2021.12.13 20211212 日
 日の上がり方が遅く、雲の多い暗い冬の朝に戻り、7時半までぐずぐずとする。起きるのが遅いと朝の時間が少なくなり、カキモノなどの朝ルーチンを終えたのは9時過ぎだった。
 朝のうちにつれあいから、昼食は「琴平荘」のラーメンを買ってあるので家でつくると宣言され、この日の食事処探訪はお休みとなる。したがって外出する必要もないので、1日おきの髭剃りもせず、終日家で過ごすことにしてしまう。

 午前中はほぼ「街道をゆく22 南蛮のみちⅠ」を読み続ける。そして「琴平荘」のラーメンで腹を満たした午後も続けて読む。
 司馬ら一行は、アルネギーのあるロンスヴォー峠からピレネー山脈を越えてスペイン領内へと入り、パンプローナの町をいったん通過して、サングエサ近郊の小さな集落でありF・ザビエルの出生地であるハビエール(ザビエル)の、日の暮れかけた時間帯のザビエル城を訪れ、感動まじりに眺めている。このあたりのことについてはグーグルマップを使って位置関係を調べたり、現場のストリートビューを見たりして、臨場感を高めながら読む。したがって、時間もそれなりにかかる。

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(司馬遼も立寄った「ザビエル城」(google mapから))

 午後からは、パンプローナから北太平洋のビスケー湾方面へと進み、内陸平原地帯のアスペイティアという町の近く、イグナティウス・ロヨラの生まれ故郷のロヨラの城館を見に行く部分を読む。バロック様式の悪趣味な建物や部屋、展示物などを見て、(ロヨラとはこんなやつだったのか)と疲れ切った感想を述べているところがおもしろい。
 夕刻になってからは、都市の美しさとしてはスペイン有数だという、ビスケー湾を望むサン・セバスチャンに到着したところあたりを読む。比較的歴史が浅く、スペイン国民の夏の避暑地ともなっているこの街が、どこかアルカリくさいコンクリートの匂いがし、仏領バスクのバイヨンヌと比較すれば、空気として中世的文化を多量にのこしたバイヨンヌの町並みのほうが勝ちだと述べている。翌日の記載として、大統領府があるビトリアを訪れて、バスクの大統領と会ったところで、この巻が終わっている。
 深夜までには読み終えられそうなところまで来たので、睡眠時間を減らして220ページ読んで読了する。

Basque San Sebastián 202112
(バスク地方らしい建物が並ぶ、サン・セバスチャンの風景)

 夜の飲み方は、「野川食肉食品センターびっくり市山形南店」の人気商品のゲソ天と、ほうれん草のおひたしをつまみに。このゲソ天、足が柔らかく、カリッとした衣もよく、気に入っている。
 飲み終えたあとは、ごはんを遠慮して、味噌仕立ての豚肉のごった煮を少しもらって食べて締める。けっこう食べてしまい、今夜は少し胃が重たい。

ienomi 20211212
(今夜のアテはゲソ天とおひたし)

 12月としては気温は高かったが、夕刻からは雨がビシビシと降り始めている。明日は気温も下がって荒れ模様になるらしい。
 アメリカではケンタッキー州など6州で、400km以上の距離にわたるとみられる米国史上最大級の竜巻が発生し、死者は少なくとも100人を超える見通しだという。ニュースの映像を見るにつけ、街並みが一瞬にして失われた様子がすさまじく、その破壊力が尋常ではなかったことはすぐに理解できる。

Mayfield 20211211
(竜巻で破壊されたケンタッキー州メイフィールドの街並み 2021.12.11)

 ともあれ、今日は終日、司馬遼太郎というすばらしい同行者を得て、バスク地方を旅していたような気分になれた、いい一日だった。
 24時半頃、就寝。