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   集英社文庫  820円+税
   2020年4月25日 第1刷発行

 好きで始めた居酒屋探訪。さすがに昔のように毎晩通うことはなくなったが、馴染みの店はたくさんある。旅に出るのも億劫なときは近場を散歩。ふらりと入った店で掘り出し物を見つけたり。映画や演劇観賞は今でも一番の趣味。人生まだまだ楽しめそうだ──古希を迎えた著者が、日常にあるささやかな幸せをつづった「サンデー毎日」連載のエッセイに、美麗な写真を添えたオリジナルカラー文庫。(カバー背表紙から)
 2018年2月から12月まで「サンデー毎日」に連載された「浮草双紙」から選出した作品で編んだオリジナル文庫であるとのことです。

 居酒屋のことだけではなく、松本から上京し、大学を経て資生堂のデザイナーになった経緯や、酒以外の愉しみである地方の風情あふれる街歩きや食べ物、そして趣味の映画や演劇、ジャズなどについても筆は及んでいきます。合い間に何点かのカラー写真が挿入されているので、使われる紙も白くて上質。写真を見ながら読めるので飽きもきません。

 「日刊ゲンダイDIGITAL BOOKS」に掲載されていた2020年7月9日付のコラムを、以下に引用しておきます。

・居酒屋探訪の達人が日常の点景をつづったフォトエッセー集。
 北陸新幹線で帰京中、車窓に映える立山連峰を眺めながら山登りに夢中だった若き日々を追想。長野県で育ち、少年時代から山に親しんできたが、本格的に取り組み始めたのは35歳の頃だった。フリークライミングに魅了され、42歳のときにはアイガー峰にまで遠征したという。またあるときは、後期高齢者突入を目前にして、ぜいたくできるのも今のうちと出掛けた人形町の老舗寿司屋の帰り道、通りかかった神社で初詣。
 しかし、昭和21年生まれは今年「八方ふさがり」と書かれた張り紙を見て愕然とする話や、企業デザイナー時代に手掛けた作品に会いに行く小旅行、そしてこだわりの晩酌の流儀まで。日常のささやかな幸せをつづる。

(2021.6.16 読)

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