fc2ブログ
kiminosuizou.jpg

   双葉社  1,400円+税
   2015年6月21日 第1刷
   2015年11月27日 第17刷発行

 これも、福岡・博多を題材とした小説を探していて入手したもの。当時、大ベストセラーになった作品。人気に火がつきコミック化され、2017年夏には映画化されています。
 この作品では主人公たちが住んでいる県などは明らかにされていませんが、二人が一緒に旅をする土地が、福岡です。新幹線を降りて改札を出たらラーメンの香り、学問の神様に会いに行って梅が枝餅を食べ、掘りごたつでモツ鍋を食べる……などなど、福岡に興味のある人ならついニヤリとしてしまう描写がたくさん出てきます。
 名称こそはっきり書かれないものの、二人が泊まった夜景の綺麗なホテルは「ヒルトン福岡シーホーク」? 遊びに行ったのはキャナルシティ? と、そこを知っている人ならわかる書き方がされていて、読んでいて楽しくなります。

 主人公である「僕」は、病院で偶然「共病文庫」というタイトルの文庫本を拾います。それは「僕」のクラスメイトである山内桜良(やまうちさくら)が綴っていた秘密の日記帳で、彼女の余命が膵臓の病気によりもう長くはないことが記されていました。「僕」はその本の中身を興味本位で覗いたことによって、身内以外で唯一、桜良の病気を知る人物となります。
 「山内桜良の死ぬ前にやりたいこと」に付き合うことによって、「僕」、桜良という正反対の性格の2人が、互いに自分には欠けている部分にそれぞれ憧れを持ち、次第に心を通わせていきながら成長していきます。そして「僕」は「人を認める人間に、人を愛する人間になること」を決意。桜良は、恋人や友人を必要としない「僕」が、初めて関わり合いを持ちたい人に自分を選んでくれたことにより「初めて私自身として必要とされている、初めて私が、たった一人の私であると思えた」と感じるようになります。
 しかし、余命を全うすることなく、4週間の入院治療から解放されたその日に、桜良は通り魔に刺されて亡くなってしまいます。「僕」は桜良の通夜や葬儀に出席せず、数日後に桜良の家を訪れて……。
 高校生男女の話ですが、性格が異なる二人の会話が高校生とは思えないシニカルなものになっていて、その中になかなか洒脱なものも含まれて、読んでいて面白い。映画化されているので、読み終えたら映画のほうも観てみたいと思います。
(2021.6.22 読)

関連記事
Secret