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   メディアワークス文庫  650円+税
   2021年3月25日 第1刷発行

 「電撃小説大賞」というものがあり、その第27回メディアワークス文庫賞を受賞した「はじめての夏、人魚に捧げるキャンパス」を加筆・修正して文庫化されたものがこれ。

 どこまでも蒼いこの島で――未来を描けない僕と彼女のひと夏の恋物語。
 僕の世界はニセモノだった。あの夏、どこまでも蒼い島で、君を描くまでは――。
 美大受験をひかえ、沖縄の志嘉良島へと旅に出た僕。どこか感情が抜け落ちた絵しか描けない、そんな自分の殻を破るための創作旅行だった。
 「私、伊是名風乃! 君は?」
 月夜を見上げて歌う君と出会い、どうしようもなく好きだと気付いたとき、僕は風乃を待つ悲しい運命を知った。
 どうか僕といた夏を君が忘れないように、君がくれたはじめての夏を、このキャンバスに描こう。(カバー背表紙から)

 「志嘉良島」は架空の島ですが、これは八重山の波照間島がモデルではないかと感じたところ。「波照間島の少し手前にある小さな島」「1日5便往復している高速船」「全島民が350人ほど」、そして「民宿南風(ぱいかじ)荘」のトミおばあの醸し出す雰囲気などから、そのように察することができます。
 ちなみに「電撃小説大賞」とは、KADOKAWAの社内ブランドのアスキー・メディアワークス(旧メディアワークス)が1994年から主催している長編・短編小説の新人文学賞で、ライトノベル系の新人賞では最多の応募数があり、受賞作品は電撃文庫(一部はメディアワークス文庫)から出版される、とのことです。

 著者の国仲シンジは、苗字から察することができるように、沖縄・石垣島出身。生物部にてウミヘビの研究にあけくれ、地元でラジオパーソナリティを経験している、元ストリートダンサー(!)なのだそうで、ググってみてもその程度のことしかわかりませんでした。
(2022.6.8 読)

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