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2022.11.28
合理的にあり得ない 上水流涼子の解明 柚月裕子

講談社文庫 700円+税
2020年5月15日 第1刷発行
柚月モノの6冊目。
「上水流涼子は弁護士資格を剥奪された後、頭脳明晰な貴山を助手に探偵エージェンシーを運営。金遣いが荒くなった妻に疑念を抱く夫、賭け将棋で必勝を期すヤクザ、野球賭博絡みのトラブルetc. 欲にまみれた人物たちの難題を涼子は知略と美貌を武器に解決するが――。著者の魅力全開、極上痛快エンターテインメント!」(カバー背表紙から)
2017年2月に講談社から刊行された単行本の文庫化版で、「確率的にあり得ない」「合理的にあり得ない」「戦術的にあり得ない」「心情的にあり得ない」「心理的にあり得ない」の5話を収録。それぞれ、怪しい詐欺師に騙される会社社長の物語、余生を優雅に過ごす夫婦の物語、暴力団組織と将棋の対局が登場する物語、涼子と貴山の過去が登場する物語、野球賭博事件を題材にした物語となっています。
はじめの「確率的にあり得ない」では、上水流涼子が、建設会社社長の本藤が妄信している謎の経営コンサルタントの高円寺裕也と対決します。高円寺は未来が見える男──つまり予知能力者であり、はじめは本藤も高円寺のことを疑っていましたが、高円寺が競艇レースの6レース全ての結果を見事的中させたことで、本藤はそれまでの反動のように高円寺に心酔します。しかし、未来を確実に予言するなど可能なのだろうか、そして、涼子と貴山はこの「確率的にはあり得ない」謎を解明できるのか?!――という内容。
でもこれ、使われているトリックや、偽装して登場する主人公たちなどに、小説でなければそれこそあり得ないと思われる、でき過ぎ感があります。そして、そのあり得ないことすべてに、胸がスカッとするような結末が用意されているのでした。
まあ、よかれあしかれ、これは立派なエンターテインメント小説だなあという感じかな。
(2022.10.11 読)
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