fc2ブログ
jakegui.jpg

   光文社  1,500円+税
   2020年12月30日 第1刷発行

 数々の人気ドラマ原作者・久住昌之自身が積み重ねてきた「孤独のグルメ」がここにある。
 1980年代からバンド活動に夢中だった著者。ネットもYouTubeも無い時代には未知のアーティストのレコードは、「勘」に頼って買うしかなかった。
 そして今、美食情報過多のなか、依然として著者の初めての店選びは「勝負」である。あえて己の勘だけを頼りに店に入って食べることを、懐かしいレコードジャケットへの愛を込めて「面(ジャケ)食い」と名付けた。
 和泉晴紀のシブいイラスト満載、カバーや掲載写真にも遊び心がたっぷり。全世界の久住作品のファンに楽しんでほしい一冊。(Amazonの書籍紹介から)

 読む前から概ねどんなことが書いてあるのか、文章形態はどんな感じかなどが想像でき、これは読むべきと以前からマークしていて、古書価格が送料込み591円まで下がったのを契機に購入しました。
 予想どおり食堂に関する軽い内容なのに加えて、著者のものの感じ方、さらには年齢まで同じなものだから時代感覚もよくわかり、とても読みやすい。

 登場した店の一つに、「ガキからジジババまでまとめて面倒見るぜ! キング・オブ・食堂」として、北海道滝川市の「高田屋」が紹介されていました。おおっ、懐かしいではないか。ここには2019年の北海道一周車旅の際に自分も立寄っていて、その立派なたたずまいに感服しながら「チャップ丼」を食べたことを思い出しました。

 山形県関係では、鶴岡駅前の「居酒屋せいご」という店が登場。「春の名物もうそう汁」の貼り紙を見てQUSUMIはどんなものが供されるのかを妄想しています。お通しの旬のタケノコとシイタケの煮物に山形を感じ、イカ刺し、ポテサラ、骨についたでっかいウインナーを食べ、最後に弁慶飯で締めていました。当方には未訪の店ですが、いい店のようなので、鶴岡泊の機会があれば行ってみたいと思います。

 紹介店は上記2店のほか、静岡県富士市「すましがすまし汁ではなかった店」、神奈川県川崎市「開けた引き戸が閉まらない店」、東京都中野区「ぷトルツメ天らの店」、北海道羅臼町「足が入らないカウンター座敷の店」など、全34店。いずこも楽しそうで、楽しくなければいい飲食店とは言えないとの思いを強くしたところです。

 これが2022年の最後の読了本となり、年間読了数は124冊となりました。
(2022.12.30 読)

関連記事
Secret