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   朝日文庫  560円+税
   2011年5月30日 第1刷
   2012年4月10日 第7刷発行

 食品メーカーに勤める一家の主・晃一の左遷から、田舎の古民家に引っ越した高橋家。夫の転勤に辟易する史子、友達のいない長女・梓美、過保護気味の長男・智也、同居の祖母は認知症かも知れず……しかもその家には、不思議なわらしが棲んでいた。笑えて泣ける、家族小説の決定版。(カバー背表紙から)というもので、自身としては荻原浩作品の4冊目。初出は2008年で、文庫化の際に2分冊になっています。
 読み口は軽快そのものなのはいいのですが、軽すぎて読む醍醐味が少ないともいえるかもしれません。面倒くさい読者でスミマセンね。(笑)

 「上」は、田舎の古民家に引っ越してきた家族5人のうち、小学4年生の智也と認知症が始まりかけた澄代バァバの2人には座敷わらしが見えて、少しだけコミュニケーションが生まれてきたところで終わっています。「下」がどう展開していくのか楽しみです。

 荻原浩の文章は、丁寧で、さっぱりしていて、とにかくわかりやすいという印象。風景や情景、それらを見て登場人物が思ったことなど、すべてがきちんと表現されてしまっているので、読み手がそれ以上自分の頭でイメージを膨らませていく必要がないくらいです。したがって、別の言い方をすれば、ある意味退屈と思えてしまうところがあります。
 でもまあ、110円の古書買いでこれだけ楽しめるわけですから、文句はありまへん。購入価格も含めて、ザッツ・エンターテインメントですなぁ。
(2023.1.7 読)

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