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2023.02.09
たそがれビール 小川糸

幻冬舎文庫 540円+税
2015年2月10日 第1刷発行
山形市出身作家の、小説もいいがエッセイも読んでみるべきではないかということと、表題に「ビール」が含まれているから飲んだり食べたりといった内容だろうという安易な考えで買ったものです。しかし内容は違っていました。(笑) 購入時にチェックしたこの本の「内容」は、次のとおり。
「パリの蚤の市で宝物探しに奔走し、モロッコでは夕日を見ながら屋台で舌鼓。旅先でお気に入りのカフェを見つけては、本を読んだり、手紙を書いたり、あの人のことを思ったり。年末に帰ってきた自宅ではおせちカレンダーを作り、新しい年を迎える準備を整える。ふとすると忘れがちな、当たり前のことを丁寧にする幸せを綴った大人気日記エッセイ」
この紹介文を読めば飲み食べエッセイだと思いますよね。ところがこれは、2012年の1年間の日記で、80数日の日々のことが各日3ページ程度のボリュームでずらりずらずらと書かれているものなのでした。つまらないかと聞かれればそうではないが、読んでいてすごく楽しいわけでもなく、赤の他人の日記とは、深々と感情移入して読めるものではないのだと知りました。
著者は2012年の6月末から9月後半まで、ドイツ滞在のため夫婦でヨーロッパへと赴いています。コペンハーゲンでの短い滞在を終えて、ステイするベルリンへ。ベルリン滞在の間の晩夏にはハノーバー、ブリュッセル、ケルン、ハンブルグなどを小旅行し、仕事でイタリアへも出かけています。
著者は各地を巡って、どの町もすてきだがベルリン以外のドイツの町は圧倒的にきれいだと感じ、それでもベルリンは空気感が他の町とはちがい、寛いだ気持ちになれると書いています。
ベルリンは、当方の場合新婚旅行で赴きました。1983年11月のことで、当時はまだ東西ベルリンが対峙しており、「壁」が実在していたのでした。東西のベルリンを見て、隣り合っていながら政治体制の違いによってこれほどまでに風景や民度や経済状況が異なるものかと驚いた記憶があります。
(2023.1.13 読)
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