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2023.03.20
またたび東方見聞録 群ようこ

新潮文庫 466円+税
1996年8月1日 第1刷
1996年9月15日 第2刷発行
自分が読む群ようこの3作目となるもので、古書買い110円で手に入れたもの。新潮文庫刊で、2004年には幻冬舎からも文庫で復刊されているようです。
バンコクではタイ王宮の建物を飾るモザイクの超絶技巧に驚き、灼熱のサムイ島では友人の日焼けの介抱に追われる。上海では怪しい媚薬を大喜びで買う同行編集者に呆れ、手軽な親孝行のつもりで訪れた京都では、母親の買い物に付き合ううちに思わぬ大出費をするはめに……。猫にまたたび、日本人にアジア。アジア旅行の魅力に目覚めた著者が綴る、文庫書下ろし紀行エッセイ。(カバー裏表紙から)――というものです。
読んでみると、旅慣れしていない女性が恐るおそる海外に出かけていくというような筆致になっていて、それなりに面白く読めます。しかし、今日は何を食べた、あそこであれを買った、日本とは何々が違うといった普通の観光旅行のことをずらずらと書いている感じになっているところがやや物足りません。編集者などと連れ立って出かけているので、海外旅行特有の突発的なアクシデントも起こらず、淡々と読めてしまいます。そういう点は、正直言ってあまり楽しくありません。
アジアを旅したときの旅日記だろうと思って購入したのですが、最後の第3部は、実母と京都に行って、母のねだる高価なありとあらゆるものを買ってあげたことをただずらずらと書いているだけのもので、がっかり。こんな内容でも人様に読ませる旅行記になってしまうのだなと、妙な感慨に浸りました。売れっ子作家なら何を書いても許されるということなのかな。
母孝行はいいけれども買ってあげ過ぎで、我々が講読したことで得られた印税がこういうところに無駄に使われていると思うと、なんだかとても悲しくなるのでした。あ、当方は古書で買っただけだから、彼女の懐には1円たりとも貢献していないのだな。
群ようこモノを続けて読むべきか少し悩みますが、まだその真価を理解できていないのかもしれず、もう何冊かは読んでみようと思います。失敗したとしても1冊110円ですから。(失礼)
(2023.2.15 読)
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