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2023.09.17
日本全国津々うりゃうりゃ 宮田珠己

幻冬舎文庫 690円+税
2016年6月日 第1刷発行
当方にとって、宮田作品の12冊目となる文庫本です。
「諸君! 明日のことは旅行してから考えよう。日光東照宮では《眠り猫》よりも幻の《クラゲ》探しに精を出し、しまなみ海道では大潮の日に山のように盛りあがる海を求め船に乗る。名古屋で歴史ある珍妙スポットを続々と発見したかと思えば、なんと自宅の庭一周の旅まで! どこに行っても寄り道と余談ばかり。これぞ旅の醍醐味! 爆笑の日本めぐり。」(カバー裏表紙から)
様々な場所や物を対象にして見に行っていますが、特に印象に残ったのは「東京 迷路機器行」で、この章では昔懐かしいピンボールについて書いていて、柴又の駄菓子屋、お台場や日野市のゲームセンターなどに足を運び、まだ現役のマシンに向かってプレーしています。
当方の子ども時代は、インベーダーゲームの流行期よりもさらに遡り、ピンボールゲームが遊びの最先端でした。山形市内にも大沼、松坂屋、緑屋、ニチイといったデパートや、山形駅のステーションビル、ゲーム専門店などあちこちにこれらのゲーム機をずらりと並べたところがあり、悪ガキ仲間とともに遊びに出向いたものです。始めた頃は1ゲーム20円(安いものなら10円)、3ゲーム50円だったと記憶しています。
とはいえ、こういうところで遊ぶにはそれなりの軍資金が要るものです。ところが、腕が上がってくるにつれて、50円持っていけば足りるようになります。たたき出した点数によってボーナスとしてゲーム数が増えていく仕組みなので、やっているうちにどんどんゲーム数が貯まっていき、最後は貯まった20数ゲーム(アナログの機械はそれ以上カウントできない構造になっていた)を、やりたくて待っている子に100円程度で売り、プラスで帰ってくることもよくあったものです。
一緒に遊びに行った連中や、その場で親しくなったろくでもない同好の輩たちは、高齢者になった今、どこでどんな人生を送っているのでしょうか。あの遊びをあの顔ぶれで、どこかでもう一度やってみたいと思うのですが、それは詮無いことなのでしょう。
話が横にそれてしまいましたが、上記のほかとりとめもない目次を拾っておくと、「名古屋 目からシャチホコが落ちる」「秋山郷、十日町 国境の長いトンネルを抜けたんだからそこは外国」「日光 東照宮にクラゲはいるか」「津軽 素晴らしすぎる石拾いの旅」「妙義山 妻より怖かった、と杉江鳥は言った」「大陸 と言っても過言ではないうちの庭」「天草 台風は悔い改めよ」「志賀島 海の危険生物に関する考察と警告」「神津島 東京で砂漠を見にいく」「しまなみ海道 海が山のように盛り上がる?」「富士急ハイランド ジェットコースターについて語るときに僕の語ること」「千里 ふるさとはニュータウン」。
当著に次ぐ宮田珠己の著作として、現段階で「そこらじゅうにて 日本どこでも紀行」「アジア沈殿旅日記」「日本全国津々うりゃうりゃ 仕事逃亡編」の3冊を用意しています。まだまだあるぞ、タマキング本。
(2023.7.30 読)
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