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 2020年9月29日から10月26日まで、28日間の車旅の記録をまとめ終えたのは、同年の12月末となった。
 テキストはほぼ旅をしながら書いたもので、帰宅してからそれに不明な部分を書き加えたり、荒削りな部分を修正したりして文章を整えた。
 撮影してきた画像にコメントを付して、文章の途中に貼り付ける。使用した画像は1,052枚となった。これらについても1枚ずつ一定の大きさにトリミングし、若干の加工を加えて使っている。数枚だが、ウェブからの画像も引用して使っている。
 このようにして、帰宅後約2か月にわたって、終わった旅を反芻し、追体験することができた。

 何回も旅をしていると、事前の情報収集が大事であることがよくわかってくる。したがって、旅をするごとに準備する資料は詳細なものになっていく。
 今回も自分でまとめた地図と資料を持参したので、目的地にたどり着けなかったことはほぼなく、着いてからも見るべきところの要点を的確に判断することができたと思う。
 そして何よりも、現地で同じ道を行ったり来たりすることが減った。これは、現地入りしてから入浴施設と道の駅を探すことが今回は少なかったことが要因のひとつになっているが、巡る順番を地図に照らし合わせて固めた上で旅に出たことが大きい。大幅な手戻りは、岩国と柳井の間の約30kmを1.5往復した1回だけだったと思う。

shatabi 202012
(image-shatabi)

 今回は、新型コロナ対策として打ち出された「GoToトラベル」のメリットを活かして、ホテル利用がメインの旅となった。
 宿が必要であれば、当日になってからスマホで手際よく予約することも板につき、コロナのためホテル需要が減退していたこともあって、宿にあぶれるというようなことは概ねなかった。
 このことによって、旅の表情は一変した。入浴施設や道の駅を探して暗くなってから見知らぬ土地を右往左往することは激減し、毎夜の行動に無駄がなくなった。
 パソコンと電源が使えるところを求めて早朝から店を探すことも減った。ホテルの部屋で毎晩ネットとつながっていられるのは快適で、モノカキは夜か早朝の暗いうちにやればよく、明るい時間帯を効率的に使うことができた。

 しかし、GoTo割引が大きいとはいえ、車中泊よりは費用がかかる。また、毎日の落陽や、早朝の朝焼けの感動的な風景を見られる機会はぐっと減った。
 つまりは、便利さ、快適さが高まる一方で、本来旅の空の下でなければ味わえない寂寞感や孤独感などが得られなくなるということにもなった。

 車中泊とホテル泊とでどちらがいいのかは考えどころだが、こんなに安い価格でホテル泊ができることは今後そうないだろうと思うと、つい安易なほうに流れてしまった。
 なにせGoToトラベルは、宿泊料金の35%が国負担となり、加えて「地域共通クーポン」という買い物券が付く。仮に通常6,000円の宿泊施設に泊まるのであれば、料金は2,100円引きとなり、1,000円のクーポンが付く。
 さらに言えば、道の駅で車中泊をする場合、700円前後の料金で日帰り入浴施設を使うことになるが、ホテルに泊まるならそれも不要だ。つまり、約3,800円引き。
 実質1泊当たり2,000円ほどで、24時間使えるWifi環境、作業ができるデスクと椅子、フラットなベッド、快適な空調、外に出なくても使えるトイレなどが手に入ることになる。
 1泊6,000円ならホテルは使わないが、こういう国の大盤振る舞いはそうあることではなく、これは使わなければ損だと言えるだろう。

onomichi 202012
(尾道の朝日)

 さて、今後のことである。
 職を辞した2019年の春からこれまで、小笠原、房総半島、北陸・山陰、北海道、東海・紀伊、九州、四国、そして山陽を車中泊で巡ってきた。また、今年(2020年)1~3月には、念願の沖縄での長期滞在も経験することができた。これらを合算すると、この1年9か月のうち250日ほどを旅の空でのくらしに充ててきたことになる。自由の身になったらやりたかったこととはいえ、よくぞここまでやってしまったなと感じている。
 実はそれ以前の2~3年の間に、長野、北関東、秋田・青森、三陸を別途ドライブしているので、この5年ぐらいの間にまがりなりにも日本列島を一巡し、「車旅」に関しては十分に堪能した形となった。
 しかし、車で寝泊まりする旅という性格もあって、主要な都市部については、十分に見終えたとは思っていない。都市部であれば、一定の期間そこに滞在して、自分の足で歩き、その都市のいいところをじっくりと味わってみたい。今回の山陽旅でいえば、神戸はかなり歩いたほうだろうが、京都は掠めただけだし、広島も不十分だ。名古屋や大阪、奈良などはすっ飛ばしている。

 都市のいいところ。それは、その土地に住む人たちが作り上げたさまざまな文化なのだろう。それにはその土地で大切にされている歴史的風土も含むし、特有の都市機能や、食文化などもある。
 これらを十分に体験しようとすれば、やはりある程度コロナが収束し、人の往来が戻り、まつりなどのイベントが普通に行われるようになってからがいいのだろう。
 そうなった暁には、いくつかの都市めぐりはこれまでの車旅よりも短い期間で行って来れるだろう。コロナの蔓延防止のため静かにしていろと言われているこの冬のうちに、しっかりと下調べをするなりして「タマ込め」をしておくことにしよう。

 また、今はダメだが、芸能関係の公演等が元どおり頻繁に観られるようになったら再度、沖縄での長期滞在をしてみたい。

 まだまだ、やってみたいことは尽きない。胸が躍るセカンドライフを送っている。

(了)


附録:日々の走行距離、宿泊施設、入浴場所

 9月29日(火) 432km 道の駅砺波(砺波市) つるぎふれあい館アルプスの湯(上市町)
 9月30日(水) 138km 道の駅アルプ飛騨古川(飛騨古川町) 宇津江四十八湯温泉 しぶきの湯 湯遊館(高山市)
10月 1日(木) 171km 道の駅美濃にわか茶屋(美濃市) 関観光ホテル西の屋別館 武芸川温泉(関市)
10月 2日(金) 158km ビジネスホテル・ウェルネス(長浜市)
10月 3日(土)  95km ビジネスホテルHIBARI(草津市)
10月 4日(日)  58km 京都プラザホテル新館(京都市南区)
10月 5日(月)   0km 京都プラザホテル新館
10月 6日(火)  98km 北上ホテル(神戸市中央区)
10月 7日(水)   0km 北上ホテル
10月 8日(木) 117km コンフォートホテル姫路(姫路市)
10月 9日(金)  59km 道の駅しんぐう(たつの市) あかねの湯龍野店(たつの市)
10月10日(土) 181km 東横イン岡山駅東口店(岡山市)
10月11日(日) 112km 東横イン倉敷駅南口(倉敷市)
10月12日(月) 164km 道の駅笠岡ベイファーム(笠岡市) 温浴別館湯の華温泉(矢掛町)
10月13日(火) 101km ホテルアルファーワン尾道(尾道市む)
10月14日(水) 119km 三原国際ホテル(三原市)
10月15日(木)  61km ホテル カモ(東広島市) 天然温泉ホットカモ(東広島市)
10月16日(金) 132km ビジネスホテル クレ(呉市)
10月17日(土) 115km 広島パシフィックホテル(広島市)
10月18日(日) 184km 岩国プラザホテル(岩国市)
10月19日(月) 168km ビジネスホテル大森(宇部市)
10月20日(火)  96km プリンスホテル下関(下関市)
10月21日(水) 121km ホテルアルファ―ワン山口インター(山口市)
10月22日(木) 228km アザレア千代田(北広島町)
10月23日(金) 255km 真庭シティホテルサンライズ(真庭市)
10月24日(土) 177km アーバンホテル西脇(西脇市)
10月25日(日) 334km ホテルエコノ小松(小松市)
10月26日(月) 492km
走行距離合計   4,359km

coffee 202012
(fin)

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